洒落怖
電車にて

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298 電車にて 16(終) sage 2011/09/20(火) 03:39:53.75 ID:MpJsRaLP0
「おいでまあちゃん」
奥さんが胸のボタンを一つ一つはずして、ブラをずらしおっぱいを露出させた。
俺は、薄茶色の先端をぼけっとながめながら、股間が盛り上がっていくのを感じた。
俺の野獣が目覚めてしまいそうだ。目覚めたい。目覚めたいけどそりゃいかんだろう。
「あ…いや……いや。もう、そちらに戻っていらっしゃいますよ」
まあ、ちゃんと機能するのね、我が息子。そんなダジャレで息子の沈静化を測った。
青くなったり赤くなったりしてたとおもう。
「ぷっ」奥さんが吹き出した。奥さんの目線が股間に向かっていたことは気づかなかった方が幸せだった。
「いるって嘘をついてしったほうが、良かったのではないですか?」
「うーその手もあったか」嘘とうーそをかけて、息子よ静まれと只管念じた。弱みにつけこむようなクズにはなりたくない。
「くすくすくす。笑わせて元気にさせようと?」
「あのアドバイスくれた人。師匠がですね。ゲイ人だったもので」

未亡人に俺は俺にアドバイスをくれた人が、男色家、ゲイだといっていたと告げた。
彼女はお腹を抱えて笑った。
彼女はおっぱいをしまおうとはしなかった。俺に向けられている目が、好意に満ちていた。勘違いではなさそうだった。
得体のしれない亭主の過去。裏表のある男の影。対照的に、俺は、裏表はあんまないと思う。ただし自覚ありで開き直ってる変人だけど。
一人寝の寂しい一夜を共にする相手として合格とみられたのだと、頭では理解していた。だからこそ我慢した。
収入もさほど多くもなく、会社もけして安泰ではない。ただ偶然で出会ったというだけで、享受していいほど、彼女は安くない様に見えた。

俺は、すぐさま荷物をまとめた。そして、その時がきた。
玄関まで送ってもらったところで彼女がいった。
「あ、そういえばまだお名前をうかがっていませんでした」
「……セザァー√ル!」
昔大好きだったCMのものまねを大音声ではりあげて、後ろは振り返らずに歩んだ。
後ろで、くすくす笑う声が聞こえていた。満足だ。

303 電車にて まとめその他 sage 2011/09/20(火) 03:49:31.38 ID:MpJsRaLP0
かくして、俺の生涯ではじめての経験は終わった。
俺は、子供の霊と波長があうようになってしまって、今もよく見る。
とはいっても、霊は消えるものらしいので、そう頻繁に出くわすわけでもない。
ただ、見えるときは決まって、かなり感応してしまって、好意的にせよそうでないにせよこっぱずかしい目にあう。
嬉し恥ずかし初体験よりはすこしマシに対応できるようになってきたけど。
パンツの替えは欠かせません。

338 質疑応答? sage 2011/09/20(火) 18:12:00.08 ID:MpJsRaLP0
>>300,304
二人もリクエストがあっちゃ、見過ごすのもあれなので簡単に。
セザールさんが普通の生活に戻って二ヶ月程してだな。
深酒してふらふらになりながら、八坂の改札を出た時にだ。
「こんばんは、セザールさん」という声が聞こえた。
セザール?ってかんじで改札周辺でたむろしてる人が
ちらちらこっちを見ているのが分かって、そういえばセザールなんて名乗ったこともあったなあ。
……あれ?それって…。
振り向いてみると、なんとも朗らかな、影のない表情をした、未亡人がいた。
セザールさんは、本当にバカでな。最寄り駅を教えてしまっていたこと、その時まで失念していた。
さすがに、二ヶ月も経ってやってきた意味は分かったよ。吊り橋効果ではなさそうだ、と。
挨拶を済ませた途端、彼女が横に寄り添ってきて、腕を絡めてきた。
肘が、肘がなんかやらかいものに触れとる。酔いが一気に醒めた。
野獣のくせに、結構堅物だと自認していたんだけど。まあ、風俗すらいかずにCherry君だったからね。
それに比べ、俺なんかよか、よっぽど彼女のほうが野獣だった。
初体験はもう、犯されたっていってもいいくらい、凄い誘惑攻勢から…そうなった。
恋人として一年近くつきあって、ある日、彼女が俺の室内を見渡して言った。
「荷物が少なくて楽そうだわ」と。
そんなわけで、多摩湖まで徒歩五分程度の、広い家が今の住処。

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