洒落怖
Sデパート

この怖い話は約 3 分で読めます。

214 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/02/17(土) 00:30
 これは、警備員のバイトをしていた時に、職場の先輩から聞いた話です。
 都内Sデパートが縦に長い建物である事は、先程述べましたが、(>>173)
当然、一人で受け持つ巡回経路は複雑で長いものです。新人である私が
覚えきれているはずもなく、最初の内は先輩と共に異常確認を行います。
 EVボックスの位置や、火元確認場所、シャッターボックスの位置など
その際に念入りに引き継がれ、その後に一人で回るようになります。

 そのフロアは、婦人服売り場がメインの場所でした。
先輩と2人で回っていると、丁度建物の中程の非常階段付近の
防火シャッターの前でおもむろに上を指差して言いました。
「この警報死んでいるから。」そう聞いてもその時の私には
『故障かな?』位にしか気にとめなかったのです。
警報には幾つか在りますが、火災報知気(いわゆる煙感)と
赤外線の2種類が、そのデパートでは主流でした。
 赤外線は、天井張り付いた白濁の半球状のもので、注意してみれば
今でも何処のデパートでも見られると思います。
 「でも、ドア警は生きているんでしょう?」と私が尋ねると、
「あたりまえだ。」と先輩は答えました

215 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/02/17(土) 00:33
 非常階段付近には大抵お手洗いがあります。
警備巡回時には、不審者が一番潜んでいやすい場所ですので、
勿論中を調べます。婦人服売り場だけあって、女子トイレしかなく
個室内に人影がないかどうか確認します。
 私達は、用具入れを含めて通り一遍確認を行い、その場所を後にしました。
私は、その時から先輩の顔色が悪い事に気が付きませんでした。

 待機室に戻ったのは深夜3時を少しまわった頃でした。
引継ぎ巡回のため遅くなり、他の皆は仮眠室に行っているようで
私達2人しか残っていませんでした。
 先輩は椅子に腰掛けるなり、私にぽつぽつと話し始めました。

 「あのさあ、さっきの警報・・・なんで殺していると思う?
故障しているわけじゃないんだ。」
 私は、『何を言いたいんだこの人は?』と思いつつ、大人しく「さあ」と
だけ答えて先輩の話を促しました。
 「ほんというとさ、俺、あそこの女子便所あんなに丁寧に見回ったの
初めてなんだ。
 あそこの便所さ、用具入れの、ほらモップを洗う深くてでっかい
洗面器あるだろ、あそこに以前子供が捨てられていたんだ。」

216 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/02/17(土) 00:35
 何でも、ある若い女性が、気分が少し悪くなったので、
トイレに駆け込んで用を足したそうです。そうすると、便器には
かろうじて人の形をした赤ん坊があったそうです。
 その女性は自分が妊娠していた事など全く気が付いておらず、
『最近遅れているなあ、シンナーのせいかな、楽でいいや』位にしか思って
いなかったそうで、それを見たときはどうしていいか分らなかったそうです。
 その赤ん坊・・・といっていいかどうか分らないほどの未熟児は
既に赤黒く変死していました。そのために流産したのでしょう。
 女性は流れ出た胎盤と一緒に流してしまおうか、とも考えたそうですが
見つかったら、誰かが埋葬してくれるのではという期待から、
用具室の洗面器にそれをすくい移し、逃げるようにSデパートを後にしたそうです。

この怖い話にコメントする

Sデパート