洒落怖
Sデパート

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 先輩の友人が婦人服フロアを巡回したのは、前と同じ1時過ぎでした。
気持ちを落ち着かせて、異常確認をしたそうです。今度は、マネキン達は
動いていません。
 その人は、『やっぱり気のせいだったのか。』と思い、女子トイレの
中に入っていきました。そこも特に異常はなかったそうで、外に向かおうと
したとき、それが目の隅に映ったそうです。
 女子トイレには壁一面に化粧鏡があり、そのうちの1枚が用具入れの
扉を映していました。その、扉が、徐々に透けていくように見えたそうです。
 先輩の友人は、横に向いた顔を鏡に向ける事ができず、片方の目で鏡を
凝視していたそうです。すっかり扉の透けた用具入れは、白くて大きい
洗面器を鏡の前にさらしていました。その中には、溶けたような腕を洗面器の
縁に掛け頭とおぼしきモノがゆっくりと立ち上がろうとしているのが見えたそうです。

225 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/02/17(土) 00:47
 その人は、凄まじい勢いで先輩達のいる待機所に駆け込んできました。
その後の夜警をすっとばして帰ってきたそうです。
 流石に、先輩達も気味が悪くなり、そこにいる全員で、その人の残りの巡回経路
埋めたそうです。

 先輩の友人は、翌日仕事をやめました。
 そのせいかどうか、マネキンの瞳は、ガラスから再びブラシか、もしくは
マネキンそのものを配置しなくなりました。
それまで鍵のなかった用具入れには鍵がつき、警報機は、殺したままになりました。

 私は、黙って先輩の話を聞き終わり、「それで、もう何も起きないのでしょう?」と、声をかけると、その時初めて先輩の顔色が真っ青なのに気が付きました。
 「いや、わからない。言っただろう?それ以来、俺を含めて誰も夜警であの
女子トイレをまともに巡回する奴なんていないからな。」
 「でも、今日は何もありませんでしたよ。」私が、そういうと先輩は黙って
 「そうか、そうみたいだな、おまえには。」といって口をつぐんでしまいました。

226 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/02/17(土) 00:48
 私には、その後も、その場所では怪異と呼べるものはありませんでした。
勿論、女子トイレは巡回していませんが。
 先輩は、私が仕事を辞めるまで、それ以上は話してくれませんでした

227 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/02/17(土) 00:48
 私と巡回したその日、先輩は女子便所の鏡を見てしまったそうです。
そこには、無数の子供の手の跡があり、それがどんどん鏡に映った先輩のほうへ
移動していくのを。

 以上、長文で済まない。

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