洒落怖
カナちゃんのメッセージ

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126 : 神楽 : 2012/05/19(土) 10:23:45.04 ID:WXB1IZmD0
ここでの俺は神楽と名乗ることにする。
断っておくが、本名ではない。
今はサラリーマンをしているが、
少し前までは神楽斎という名で霊能者をしていたからだ。
雑誌にも2度ほど紹介されたことがあるから、
もしかしたらここで知っている人もいるかもしれない。
そんな俺だが、いわゆる『霊感』を持っているので
小さい頃から霊体験は数多くある。

俺自身、命を落としそうになったものもあるが、
そういう霊体験を一つずつ紹介していきたいと思って書いている。
ただ、いきなり長丁場な話を思い出しながら書くと挫折しそうなので、
まずは短めな霊体験から書いていく。

127 : 神楽 : 2012/05/19(土) 10:24:36.38 ID:WXB1IZmD0
<カナちゃんのメッセージ>

この話は、俺の体験談だ。
俺が幼稚園に入る前、いわゆる公共団地に住んでいた。
団地の近くにはいくつか公園があり、団地住民の子供はよくそこで遊んだものだ。
俺もその一人。
一番端にある公園が好きでよくそこに行ったものだった。
水飲み場と砂場とベンチしかないので、子供は滅多に来ない。
だから、俺は好きだった。
霊感を持っているがゆえに、周りから薄気味悪がられていたのだ。
「あそこに○○がいる」
と指差した方向に何も見えなければ近寄りたくなくなるのは当然のことだ。
自然と俺は一人で遊ぶようになっていった。
この公園で、俺のお気に入りといえば砂場だった。
砂を盛って山を作り、底を掘ってトンネルを作る。
そのあとは赤いミニバケツに水を入れ、トンネルに流し込む。
こんなことを毎日飽きもせずやっていた。

128 : 神楽 : 2012/05/19(土) 10:25:25.12 ID:WXB1IZmD0
ある日俺が行くと見たことない女の子がベンチに腰かけていた。
とてもかわいらしい。どことなく俺に似ているのは気のせいだろうか。
周りを見ると親はいない。ということは団地の子だろう。
「お名前なんてゆーの?」
「カナ」
「一緒に遊ぶ?」
「うん」
こんな会話だったと思う。
俺らはいろんな話をしながらトンネルを掘って遊んだが、残念なことに会話の内容までは思い出せない。
そうこうしているうちに、辺りは暗くなり始め、夕日が沈みかけていた。
「もう帰らなきゃ。お母さんに怒られる」
「カナは・・・もうちょっといる」
「団地に住んでるの?」
「うん」
「じゃあこれ貸してあげるよ。明日また来るから返して」
「わかった」
俺は黄色の柄が付いた緑色のシャベルと赤いバケツを貸してあげた。
団地に帰ると、お母さんに友達ができたことを報告した。
「あら、よかったわねー。どこの子?」
「うーん、わかんない。だけど団地に住んでてカナちゃんって言うんだって」
「ふーん。また遊べるといいねー」

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