洒落怖
島の祠

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610 591 sage New! 2012/09/23(日) 16:45:41.91 ID:Goy2a34Z0
次の日の朝、Aが名刺にあった番号に電話をした。
A :こんにちは…Hさんのお宅でしょうか?
この前、○○島で会った学生です。実はちょっと困ったことになりまして…
話はすぐについたようだった。今からでも来なさいと言われたらしい。
まさか、2日でまた地元に帰ることになるとは思わなかった。
Aが車で名刺の住所まで送ってくれた。
午後2時過ぎ、Hさん(神主さん)のお宅を訪ねるとあの時の男の人が迎えてくれた。
Hさんは普通の服装で、見た感じは優しい顔で小太りのおじさんだった。
私は起きた事を正直に話した。洞窟の板をはがしてしまったことも伝えた。
Hさん:ああ、そしたらまずはそれが先だ。ちょっとここで待っててくれるかな。
そう言って、お茶を出すとすぐに家を出て行ってしまった。
Aと私は状況が把握できないままそこで待っていた。

614 591 sage New! 2012/09/23(日) 18:02:11.09 ID:Goy2a34Z0
1時間以上たってHさんが戻ってきた。
Hさん:うん、お待たせ。向こうはもう大丈夫だった。あとは君だね。
A :すいません、あの洞窟はなんなんですか?
Hさん:うん、それも合わせて説明するよ。聞いた方がスッキリするでしょ。
そう言うと、次のようなことを教えてくれた。

まず、私達の地元は東西を山に挟まれている。
そして、それらの山はそれぞれ強い神様によって守られている。
だから昔は、いろいろな霊とかそういったものは
霊的に弱い私達の住む町を通り道のように使っていた。
ところがある時、町に流れ込む川の増水を防ぐために治水工事を行って、
さらに水の神様を祭る祠を川の上流に作ってしまった。
その結果、通り抜けられなくなった霊が町に溜まるようになった。

615 591 sage New! 2012/09/23(日) 18:03:41.83 ID:Goy2a34Z0
そこで作られたのが、あの島の洞窟。正しくは祠。
あそこで、霊の流れを切って町に入らないようにしたんだそうだ。
ただ、それで解決というわけにはいかなくて、
今度は山を隔てた周りの町で病気とか悪いことが起きるようになった。
で、どうしたか。島の祠は封じて、川の上流の祠の場所を移動した。
霊の流れは元に戻したということ。
でも、封じたとはいえ島の祠は残ってしまった。
霊を退ける力は残っていて、逆にそれを抑えているという変な状態。
不安定な状態を作ったことで、その島のあたりによどみができるみたいに
霊が溜まってしまうことがあるそうだった。
Hさん曰く、西から流れてくる海流が島にぶつかって、西側に渦潮ができる様子を
想像するとわかりやすいとのことだった。
そして、私はその滞留していた霊を拾ってしまったんだろうといわれた。
あの日、Hさんは海開き前の安全祈願をしていたのだけれど、
そのために一時的に祠を開いてストレスを逃がすようなことをしたんだそうだ。

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