洒落怖
島の祠

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601 591 sage New! 2012/09/23(日) 15:12:59.91 ID:rNtKeau20
御札の隙間に見えたもの、それは間違いなく顔だった。
まっしろい能面のような顔。
目は細くまっすぐ顔の端まで伸びていた。
真っ暗な中で、その顔だけが白く浮き上がって見えた。
黒目、白目の区別はつかなかったが、間違いなく目が合ったのを感じた。
すると、それは三日月形の口を大きく横に広げ、にやりと微笑んだ。
私は悲鳴をあげ、板を突き放すようにしてAと一緒に後ろに倒れた。
それからのことは、よく覚えていない。
気がつくと私は病室のベッドの上にいた。
AとBが、私が頭を打ったのだと思い病院に運んでくれていた。
親も来ていて、事情は二人から聞いていた。

602 591 sage New! 2012/09/23(日) 15:14:37.42 ID:rNtKeau20
AとBは、医者から特に問題がなさそうだという結果を聞いてから、
もう一度同じ場所に戻って穴を塞ぎ直してきたそうだった。
目を覚ましてから、二人から何があったのか聞かれたが、
見たもののことを自分でも信じたくなくて、御札があって怖くなったとだけ伝えた。
二人も塞ぎに言った時に、御札があったことは確認していた。
何となく、三人ともあの穴がなんなのか言及するのを避けていた。
私はその日のうちに家に帰ることができた。
親からはいい年して子供みたいなことを・・・と叱られた。
本当はその日のうちに東京に戻る予定だったのだが、
頭を打った(ことになっている)から体調に問題がおきるといけないので、
とりあえず自宅に一泊することになった。
私が見たものは何だったのだろうか。見間違いだったのだろうか。
605 591 sage New! 2012/09/23(日) 16:35:06.39 ID:Goy2a34Z0
気のせいだったと思いたかったが、昼間見た顔は私の記憶にはっきりと残っていた。
怖くて、その日は電気をつけたまま寝ることにした。
朝方4時過ぎ、私はふと目をさました。
電気が消えていた。
入り口のあたりに人が立っていた。
全身から汗が吹き出るのがわかった。
体は動く。金縛りではない。
恐怖のあまり、私は目をつぶった。
ひたすら時間が過ぎるのを待った。
何分経ったかわからない。私は意を決してもう一度目を開けた。
人影は消えていた。
私は急いで電気をつけて、部屋を見回した。
特に変わった様子はなかった。
恐る恐る入り口に近づいてみた。

606 591 sage New! 2012/09/23(日) 16:36:28.68 ID:Goy2a34Z0
何もないはず、安心を得るために確認したかった。
私はショックのあまりそこに座り込んでしまった。
人影があったあたりに小さな水溜りができていた。
それは、そこに何者かがいたことを示す確かな証拠だった。
私はしばらくボーっとしていた。
なんでこんなことになったんだろう・・・そんな感情だった。

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