洒落怖
島の祠

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女 :さみしかった・・・。
耳元で、そう囁く声が聞こえた。
女の声だった。自分の体がガタガタと震えるのがわかった。
声にならない声をあげながら、私は親の寝室に走った。
私 :人がいたの、人が出たの。怖い、怖い!
多分、私はそんな感じで父にうったえたのだと思う。
父は血相を変えて私の部屋に行ってくれた。
母もすぐに目をさまして、私の手を握っていてくれた。

607 591 sage New! 2012/09/23(日) 16:38:41.97 ID:Goy2a34Z0
数分して父が戻ってきた。
父 :大丈夫か?部屋には誰もいなくなっていたぞ。
部屋もあらされてはいないみたいだったから、向こうも逃げたんじゃないか?
父は、泥棒か何かだと思っていたのだと思う。
私 :違うの、幽霊。女の幽霊。
父 :幽霊?・・・バカなことを言ってるんじゃない。
私 :ホントに出たの。声も聞こえたし。水溜りもできてた。
全く信じようとしない父を連れて、私はもう一度部屋に行った。
水溜りは残っていた。
私 :ほら、これ。ここにいたの。
父 :・・・風呂上りに濡れたままだったんじゃないのか?
正直、よくわからなくなっていた。
風呂上りの水滴ならそれでよかった。
聞こえた声も、気のせいだったことにしたかった。
私 :さわいでごめんなさい。
父 :まあ、なにもなくてよかった。
そう言うと、父は寝室へ戻っていった。
私は部屋で寝る気にはなれず、リビングのソファーで横になった。

608 591 sage New! 2012/09/23(日) 16:40:13.18 ID:Goy2a34Z0
次の日、私はAに電話をした。
AとBには特になにも起きなかったと言っていた。
東京に帰った私はバイトを終えて帰宅した。
多少迷いはあったけど、電気はつけて寝ることにした。
その日はなかなか寝付けなかった。
仕方なく、深夜のテレビショッピングを見ていた。
ちょっと眠気を感じ始めたときだった。
テレビのすぐ横に、女が立っていた。
あまりに突然すぎた。
女は微動だにせず、少し下を向いていた。
ショートカット、おかっぱに近い髪型。
服装はジーパンにTシャツ。
顔は、前髪に隠れてほとんど見えなかった。
私は女と対峙したまま身動きひとつとれずにいた。
テレビショッピングの妙に明るい会話が部屋に流れていた。
るタイミングで私が瞬きをした瞬間、女は消えていた。
女がいたところには、やはり水溜りができていた。

609 591 sage New! 2012/09/23(日) 16:44:03.85 ID:Goy2a34Z0
私は部屋を飛び出すと、Aに電話をして助けを求めた。
私 :A?遅くにごめん。あのね、幽霊が出たの。
ホントなの。信じられないと思うけど。
A :マジで言ってるの?今から行くよ。東京のアパート?
私 :うん、でも、近くのコンビニに行くからそこに来て。
Aは、私の家から車で30分程度のところに住んでいた。
Aはすぐに来てくれた。起きたことを説明して、部屋を見てもらった。
水溜りは残っていた。ふき取ろうとも思ったけど、気持ち悪くて触れなかった。
A :お祓いだよな…。
私 :うん、そうする。どこに言えば良いんだろう。
A :このまえ名刺をくれた神主さんは?
私 :ああ、そうか。何か知ってるのかも。
私達は、近くのファミレスで朝が来るのを待った。

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