洒落怖

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死に目を看取った叔父の話。

独身だった叔父は姉の子供のオレを我が子のようにかわいがってくれていた。
オレも叔父が大好きだったし、社会人になってからオレは叔父と同居して、叔父が亡くなるまで一緒に住んでいた。
叔父には一つだけ変な癖があった。

叔父の変な癖とは、叔父は子供の掌をとても怖がる癖だった。
どのくらい怖がっていたかというと、小さかった頃のオレが手を少しでも上げようとするだけで全速力で走って逃げるほどだ。
オレはそれが面白くて、よく手を叔父に向けたまま叔父を追いかけて遊んでいた。
意地悪く追いかける俺が走り突かれて立ち止まると、叔父は息を切らせながらも、それでも引きつった笑顔で頭を撫でてかわいがってくれていた。
そんな、優しい叔父だった。

779 本当にあった怖い名無し sage 2014/02/13(木) 00:40:45.62 ID:g5d/fSPO0
社会人になって数年経った頃、オレは叔父と晩酌をしながらテレビを見ていた。
その日は二人とも珍しく深酒し、やがて話しはオレが子供時代の話になっていた。
叔父はある時の正月の話しをし始め、、当時よくロードショーでやっていたキョンシーの映画を見た正月に、オレが夜中にトイレに行けなくて泣いていた話しを嬉しそうにしていた。
叔父の背に隠れるようにトイレに行くオレが、叔父はかわいくて仕方なかったと、真っ赤な顔で嬉しそうに話していた。
昔の恥ずかしい話しをされて少し腹が立ったオレは、叔父が子供の掌を怖がっていたことを逆にいじり始めた。

暫くオレは叔父が如何に情けなく怖がっていたのかを意地悪く話していたが、ふと、叔父の顔が怖いほどに真剣になっていることに気がついた。

初めは叔父が怒ったかと思い、慌てて謝ったりもしてしたが、その内、叔父がなにか言いにくい事を言おうとしているのだと察して、オレは叔父が話し始めるのを黙って待った。
それでもなかなか話し始めない叔父にオレが声をかけようとした時、漸く叔父はぽつぽつと話しを始めた。

780 本当にあった怖い名無し sage 2014/02/13(木) 00:41:21.88 ID:g5d/fSPO0
叔父の話によると、昔叔父はトラックドライバーの助手をしていた時期があったらしい。

トラックドライバーの助手と言っても、まだ大型免許を取るために教習所に通っていた最中の叔父は、
勤めていた会社と契約しているドライバーの運転するトラックに同乗し、解いた先で荷物の上げ下ろしを手伝うのが仕事だった。
荷物の上げ下ろしはともかくとして、目的地に向かう最中の車内では特にやる事もなく、叔父は良く車窓から景色を眺めて過ごしていた。

そんなある日珍しく長距離トラックの助手になった叔父は、話すネタが尽きてドライバーが鼻歌を歌い始めた頃から、高速道路の景色をいつものように眺めていた。
その地方は何日か前に雪が降ったらしく、高速道路の道や路肩には、うっすらとシャーベット状の雪が残っていた。

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