子どものころの怖い話
鬼伝説の山

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「なんだよそれテメェ! だから冷静にいられたんだな!」
Uはドスの利いた声をあげた。俺の頬に鈍痛が走った。
Uの拳はなおも飛んできた。俺は血の混じった唾を吐いた。
俺も口を開いた。
「でも俺が呪う理由をつくったのはお前たちだろ! これでおあいこだ! それに俺も呪われたんだ」
Uは舌打ちして、その場にへたり込んだ。
「俺はまだ死にたくない」
「俺だって」
「おいひらめいたぞ」
俺は首をもたげた。男は人差し指をたてていた。
「……本当に成功するんですよね」
「誤算はない」
「……一人事とか、やめろよな」俺はため息をついた。「……そうだな」

俺はしょんべんといって、男を連れ、Uの呑気だな、との嫌味を背中で受け止めながら、茂みの奥へいった。
「で、方法っていうのは?」
「お前たちだけで、あれから逃げるのだ」
「あの化け物から?!」
「その通りだ」
「そんなことしたって呪いが解かれないじゃないですか」
「解くことはできる、うまくことが運べばな」
「その間に何かしてくれるんですね」
俺は男の真意を汲み取った気がして少し音量が上がった。
「いや。私は少し休む」
「っ!?」
「迷っている時間はないぞ」
と、男の指差す先に、クロボウが迫っていた。
Uの叫び声が上がった。俺はUのところへ駆けより、共に走り出した。

「くそっどうしろってんだ」
俺とUは後ろを垣間見つつ逃走する。
Uが先頭を切り、一歩遅れて俺が続く。
後ろから恐怖の圧迫感に押され、俺は無我夢中だった。
クロボウは身体を曲げながら跳ねてくる。
飛躍力がだんだん上がっているように思われた。
Uが茂みに飛び込んだ。俺はその反対の茂みに飛び込んだ。
がくがくと震えながら顔を上げると、茂みを壁として見た葉っぱの隙間から、クロボウが跳ねていくのが垣間見えた。
Uの方にも俺の方にもこなかった。
ただまっすぐに進んでいっただけだった。
俺とUは立ち上がって、クロボウが跳ね去っていった方向を見据える。
「何とか撒けたのか」
Uが呟いた瞬間だった。
Uのずっと後方から瞬間移動したように、クロボウが猛スピードで跳ねてきた。
女々しい声をあげて、俺たちは茂みをかき分けながら走った。
俺は何度も転びそうになった。
突き出た枝や大きな石、捨てられたゴミなど足をとられるものはそこかしこにあった。
案の定、Uが何かに引っかかったらしく、横転した。
「うぬぬうぬぬぬんうぬんぬ」
と狂ったようなうめきをあげたクロボウは容赦なく迫ってくる。
俺は一度止まった足を再度動かそうとした。Uを見捨てようとしたのだ
今思えばよくUのために一度でも足を止められたものだと感心する。

その僅かな逡巡の最中、
俺の視界に黒衣の男の姿が見えた。
森林に立ち尽くす男はただならぬオーラを発していた。
俺は男の力を借りようと思った。
何故、Uを助けようと思ったのかはわからない。
ただ咄嗟に身体が動いたのだ。
クロボウとの距離はまだ開いている。俺は男に見えるようにUの前に進み出た。
「おい!」
Uが手を伸ばしてきた。
進行方向にUの手が現れて、気が動転する最中、
俺にとってそれは確実に邪魔なものだった。
俺はUの手を押しのけた。
その時、クロボウから腕のような触手が伸びた。
それはUの手のあった場所を滑空して、再び主の体躯へ戻る。
Uは俺が突き飛ばしたことで尻餅をつき、クロボウの手から逃れる形になった。
俺はただ男に助けてくれと合図しようと思っただけだった。しかしUはそれをクロボウから助けた行為だと捉えたらしい。
「すまん。助かった」
とUは息も絶え絶えにいった。
すると、クロボウの眼間に木が一本倒れ込んだ。
枯れた樹ではなくさっきまで地に根を張っていた頑丈な樹だ。
男の力だ、と思った。俺はUの手を掴んで走り出した。

この怖い話にコメントする

  • 匿名 より:

    中二?乙

  • 匿名 より:

    長い上につまらん

  • 匿名 より:

    序盤は面白かったのですが途中から中二病感がでてきて全然面白くなかったです。

  • 匿名 より:

    コメント同意。婆のしゃべり方、標準語なのに「じゃ」とか不自然だし魔法陣のくだりはしっかり萎えて途中でやめた。中二病は早いとこ卒業しなね

  • 匿名 より:

    面白かった

  • 匿名 より:

    厨二好きなら面白いんだろうな

  • 匿名 より:

    魔法陣あたりでファンタジー感満載

  • 匿名 より:

    この程度で長いとかw

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