子どものころの怖い話
鬼伝説の山

この怖い話は約 4 分で読めます。

Tの家はここから近い。
俺が箱を見つめながら歩いていると、NとUが自転車に乗って走ってくるのが見えた。
「おい、Tが死んだんだ」
「知ってるよ」
「チッ、なんで」
二人は苛立ったようにいった。
俺はそのあと、二人にぼこぼこにされた。
話し方が気に喰わない、汚い手でさわるな、などと難癖をつくられて殴られたり水をかけられたりした。
彼らもTの唐突な死に戸惑っていたんだと思う。
俺もそうだった。
あとから聞いた話ではTの体には外傷一つなかったらしい。
持病があったわけでもなかったので、状況証拠から自殺、ということで片付いたそうだ。
彼女のいったことはこういうことだったのか。
しかし呪うといっても死に至らしめようとは微塵も考えていなかった。
だがその動揺は、次第に過激さを増すNとUの暴力によって、ざまぁみろという気持ちに変わっていき、こいつらにも同じ目にあわせてやるという思いに変わっていた。

俺は隙を狙って逃げた。二人は追いかけてくる。
森へ逃げ込んだ。
俺は体力も二人に比べてなかったのですぐにつかまってしまった。
できるかぎりの抵抗をする。
二人もそれでますます熱がはいり、つかみ合いの喧嘩に発展した。
俺は二人の髪の毛を引っ張る。
彼らも俺の髪の毛を引っ張った。
痛みが頭部に走るのを我慢して、俺は何とか二人の髪の毛を数本握った。
ちょうどNとUの髪の毛を採取できるチャンスだったのだ。
ひりひりする己の頭をなでながら俺は尚も殴られ続けた。
ふと、突然Nの動きが止まった。
物音を聞き分けるように耳をすませている。
その様子に俺とUの手も止まる。
直後、Nは人がかわったようにその場にうずくまった。
震えているのがわかった。

Nは呆然と前だけを直視し、しきりに瞬きをしていた。
呼吸が荒くなっている。
虚ろな目をUに向けるが、すぐさま元の位置におさまる。
「どうした?」Uが声をかけた。
Nは何度かあごを突きだしてどこかを示していた。
「あそこの茂み……」
「茂み?」UはNが凝視する先を見た。
俺も気になって二人の視線を追う。
確かに茂みがあるが、いくつもあってどれのことをいっているのかわからなかった。
Uは適当に見当をつけたらしくいった。「茂みがどうかしたのか?」
「その後ろに……しゃがんだ」
「しゃがんだって? 誰が?」
Uは答えなかった。
尻餅をつき、首を左右に振り始めた。
「もしかして誰かに見つかったのか? なら早く逃げるぞ!」
Uは繰り返しいった。
だが、Nは固まって動く気配はない。
茂みをずっと見つめていたが、特に変化は見られなかった。
Uが走りだそうとした直後、
「動くな!」Nが叫んだ。
UはびっくりしてNを見た。
「まだいる!」

「な、なぁ、一体誰がいるっていうんだ」
「静かにしろ。お前にはいわなかったけど昨日から何かに見られている気がしてたんだ」
「そんなの俺は感じないぞ。気のせいだろ」
「いいや、確かだ。同じ気配がする」
Uは尖り声をあげた。
「お前は誰に怯えてるんだよ! 何もないだろ!?」
茂みは音を立てない。隙間には暗闇があるだけだ。
しかしNは吸い込まれるように生い茂る葉の塊を見据えていた。
「N! お前は何を見てるんだ!?」
「目だよ!」
Nが腹底から声を張り上げた為、一瞬だったが、辺りに低く響いた。
俺は身の毛もよだつ思いがした。
Uも固まっている。
「そんなのどこにも……」
すると、どこからともなく、
「うっうぅ」
という、うめき声が響いてきた。
Uが怯えているのがわかる。
「何なんだよこれ!」俺もよくわからない。
祖母のいっていた鬼が本当に出たのか。

この怖い話にコメントする

  • 匿名 より:

    中二?乙

  • 匿名 より:

    長い上につまらん

  • 匿名 より:

    序盤は面白かったのですが途中から中二病感がでてきて全然面白くなかったです。

  • 匿名 より:

    コメント同意。婆のしゃべり方、標準語なのに「じゃ」とか不自然だし魔法陣のくだりはしっかり萎えて途中でやめた。中二病は早いとこ卒業しなね

  • 匿名 より:

    面白かった

  • 匿名 より:

    厨二好きなら面白いんだろうな

  • 匿名 より:

    魔法陣あたりでファンタジー感満載

  • 匿名 より:

    この程度で長いとかw

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