子どものころの怖い話
鬼伝説の山

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「これで最後になっちゃったのは残念だけど、あなた的に考えると命拾いしたのは運がよかったね。
あぁ、でも代償で寿命削れちゃうんだっけ」
「いいんだ。それが人を呪った代償だから」
「私に対してもな」男が抜かりなくいった。
「そうですね、助かりました」
すると、いつのまにか、わたしは消えていた。
俺はもう追われなくていい安心感に脱力して、大きく息を吐き吸い込んだ。
そのとき、焦げ臭いにおいが混じっていることに俺は目を見開いた。
慌てて穴倉から出ると、眼前に広がる木々が炎に包まれていた。
ついさっきまで何の異変もなかったはずだ。
なのに――ぱちぱちと音を立て、見慣れた植物が無残に焼かれていく。
男は燃え上がる様を見やりながらいった。
「ヘルハウンドか、そういえば奴も来ていたんだったな。どうやらここにある道を絶つつもりらしい。お前もさっさと退け。
奴の粛正に巻き込まれたくなければな。といってもお前は、時がくれば再びその姿を目にするだろうが。
では私も、帰還しよう」
男は俺の額に指を突いた。
次の瞬間、俺の身体から何かが抜き取られる感覚が走った。
やや間をおいて、俺が目をあけると男は忽然と消えていた。
何だかやるせなかったが、俺はUを抱えて森の外へ脱出した。
煙を避けながらで多少時間はかかったが、遠くで祖母の姿が見えて俺はほっと息をついた。

結局、黒衣の男の正体もわたしの素性も何もわからなかった。
ただ、俺が幼い頃から共にしてきたこの森には、確かにここではないどこか別の世界へ通じる道があったのだろう。
元気になった様子の祖母がこっちじゃ! と叫んでいるのが見えた。
森の前では消防車を呼ぶ声と群衆ができていた。
俺が祖母のところまで到着し、Uを横にさせる。
そして、これほど騒ぎになっているのにいびきをかいて眠りこけているUと、事情を問いつめずに俺の身を
心配してくれた祖母と共に、燃える山を見つめた。
「えらいことになった」と祖母。
「ごめん」
「会ったのじゃな、鬼に」
「たぶんそうだけど、全然想像してたのと違ったよ」
「鬼といっても伝説通りではない。B山に潜む鬼は別の世界から来た者じゃ」
「ばあちゃん、もしかして知っているの?」
俺は思わず声を荒げた。
「んや、詳しいことはわからぬ。だがそう確信できる。若かりし頃ワシは願ったのだ。だからアレが来た」
俺にはよく理解できなかった。

「でも、おかげで俺は少し頭が覚めたと思う」
祖母はうん、うんと頷いていた。
「……あの魔法陣じゃが」
「あ、ごめん、勝手に」
倉に描いた魔法陣をそのままにしてあったことを俺は思いだした。
「いいんじゃ、あれは役にたったか?」
俺はしばし考え、あごをひいた。
「でもあの本……って」
「あぁ確か、西洋を旅するのが好きじゃった父親からの土産物だったかの。ワシも恥ずかしながら、借りて読んでおったわ。
少し頼りない土産だと思ったが意外に役にたつ。だが、お前がこんなことになるのなら、もっと早くに教えておけばよかったなぁ、すまん」
俺は今でもこの祖母の言葉を覚えている。
もしかしたら祖母は、あの黒衣の男が何者であるのかも含め、全て知っているのではないかと思ったが、聞かないようにした。
(その後事情があって、男の正体や道、化け物とわたしについての見当はついたが、
祖母が亡くなったあとだったこともあり、真相はわからない。そして祖母のいった、こんなことになるのならの意味が
代償についてだったのだとしたら、人を呪った俺にとっては適切な報いだと思っている)

この怖い話にコメントする

  • 匿名 より:

    中二?乙

  • 匿名 より:

    長い上につまらん

  • 匿名 より:

    序盤は面白かったのですが途中から中二病感がでてきて全然面白くなかったです。

  • 匿名 より:

    コメント同意。婆のしゃべり方、標準語なのに「じゃ」とか不自然だし魔法陣のくだりはしっかり萎えて途中でやめた。中二病は早いとこ卒業しなね

  • 匿名 より:

    面白かった

  • 匿名 より:

    厨二好きなら面白いんだろうな

  • 匿名 より:

    魔法陣あたりでファンタジー感満載

  • 匿名 より:

    この程度で長いとかw

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