洒落怖
空き家の子供

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その夜、俺達が部屋でゲームしていると

コン…コン…コン…コン…

と窓を規則的に叩く音がした。

273 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/05/20(金) 21:04:40.52 ID:x83Y3WRH0

さっき説明した通り、俺の部屋は車庫の上にあり壁もほぼ垂直なので、よじ登って
窓を叩くなどまずできない。
しかも、その窓は昨晩例の子供が覗き込んでいた窓だ…

状況が状況だけに全員が顔をこわばらせていると、B太が強がって
「なんだよ、流石に誰かの悪戯か風のせいだろ?」
とカーテンを開けようとした。
俺は大慌てでB太に事情を話しカーテンをあけるのを踏みとどまらせた。

窓を叩く音はまだ続いている。
D幸が
「やっぱ正体確認したほうがよくね?解らないままのほうが余計こえーよ…」
と言ってきた。
たしかに何かその通りな気がした、なんだか解らないものが一晩中窓を叩いている
状況なんてとても耐えられそうに無い。
俺達は階段のところまで移動し、カーテンを少し開けて隙間から俺の部屋を
見てみた。

いた…
昨日のあれが、やはり昨日と同じように首をらしき棒を伸ばし、窓から俺の部屋を
覗き込んでいる。そして、時々

274 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/05/20(金) 21:05:45.22 ID:x83Y3WRH0

コン…コン…

と頭を窓にぶつけている。

「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」

という例の抑揚の無い笑い声のようなものも聞こえてきた。

音の正体はこれだった。
異様な光景だった、そして、昨日は気付かなかったが、あれは子供と言うより和服を
来た人形のようだった。
頭が窓にぶつかる音も、人間の頭と言うより中身が空洞の人形のような音だ。
C広が
「ひょうせって今日もう一度封じ込めたんじゃねーのかよ…」
と呟いた。

その時、俺の親父が騒ぎに気付いて
「お前ら何やってるんだ?」
と階段を上がってきた。
その時、その声にびっくりしたA也が思わず腕を窓にぶつけて

ドン!

と大きな音を立ててしまった。

278 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/05/20(金) 21:25:44.15 ID:x83Y3WRH0

“それ”の棒の先にある頭だけがカクンッという感じでこっちを向いた。
俺達は顔をはっきりと見た。

“それ”はおかっぱ頭で笑顔の人形だった。ただし、ただの人形ではない。
顔は人形特有の真っ白な肌なのだが、笑顔のはずの目は中身が真っ黒で目玉
らしきものが見えない、口も同じで、唇らしきものもなくそこにはやはりぽっかり
と真っ暗な三日月状の穴のようなものがある。
それでも、目や口の曲線で「にっこり」と言う感じの笑顔なのが解るのが余計に
不気味だった。

親父が
「だからお前ら何やってるんだ?」
と窓のところに来てカーテンを全開にすると、それはサッ!と屋根の影に
隠れて見えなくなった。
が、親父にも一瞬「何かがそこにいた」のは解ったらしい。
親父は大慌てで1階に降りると、携帯でどこかに電話をし始めた。
どうやら昼間祈祷をしてくれたおぼうさんやおじさん達の連絡先を聞いていた
らしく、そこと顧問の先生のところに電話しているらしい。

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