洒落怖
空き家の子供

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暫らくそんな状態が続いていると、どうも燭台に残っていた蝋燭の火が
人形の服に燃え移ったらしく、人形が煙を上げて燃え始めた。
友人たちによると、人形の

292 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/05/20(金) 22:09:26.15 ID:x83Y3WRH0

「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」

という笑い声と、俺の絶叫が交じり合い、薄暗くなり始めた周囲の雰囲気とあわさって、
異様な状況だったという。

それでも俺は笑い泣きしながら殴り続けていると、どこを殴ったのかよく
わからないが

メキッ!

という鈍い音がした。
その途端、俺の中の妙な感情が消えた。
消えたというか、急にシラケてしまったといえば良いのだろうか、とにかく
人形に対するイラつきも、笑いたいという気持ちも泣きたいという気持ちも
急になくなってしまった。

俺はその場にヘタり込み、友人たちやおじさんが
「…大丈夫か?」
と心配そうに近付いてきた。
人形はもう笑ってもいないし動きもしないが、燃えたままでは不味いので友人たちと
おじさんが砂を掛けて消していた。

294 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/05/20(金) 22:11:59.67 ID:x83Y3WRH0

理由は解らないが、おれは何故か全て解決したような、そんな良い気分に
なっていた。
この騒ぎの中、お坊さん2人はずっとお経を読み続けていたらしい。
人形(もう殆ど残骸に近かったが…)の事は明日詳しく調べる事になり、箱に入れて
お札を貼り、本堂に安置する事になった。
俺達はお坊さんの好意でそのままお寺に泊まることにした。

翌朝。
俺達は本堂に呼ばれた。
どうやらお経のお陰なのか、俺がぶち切れたのが原因なのか、理由ははっきりしないが、
どうも一応解決はしたらしい。
そして、人形はこのままこのお寺で供養する事になったのだが、結局この人形が何なのか、
その辺りは謎のままだった。

296 ラスト sage New! 2011/05/20(金) 22:14:30.18 ID:x83Y3WRH0

ただ、燃え残った人形の胴体に、焼け焦げ消えかかった文字で
「寛保二年」という記述と、完全に燃えて文字数しかわからない作者の名前6文字、
それとはっきりとは解らないので残っている文字の痕跡からの推測だが、「渦人形」という
単語が読み取れた。
お坊さんが言うには、とにかく正体は不明だが何らかの呪物である事はまちがいないらしい。
燃え残った残骸に頭と動を繋ぐ棒の部分があったのだが、そこにびっしりと何か
呪術的な模様が書かれていた痕跡があるのが確認できたとの事だった。

その後、今に至るまで俺も含め当時のメンバーには知る限り何も起こっていない。
お寺のお坊さんからは、人形の正体がわかったら連絡をくれるという話だったが、あれから
数年経つが未だその連絡も来ない。

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