洒落怖
空き家の子供

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286 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/05/20(金) 22:06:20.82 ID:x83Y3WRH0

俺達が指差した方向へ振り向くと、それはいた…
前と同じように屋根から頭だけを突き出し

「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」

と笑いながら例の真っ黒な目と口の顔をこちらに向けながらニコニコ
と笑っている。俺たちは全力で逃げ出した。

本堂に着くと、お坊さん2人とさっきのおじさんが待っていた、
今になって気付いたのだが、おじさんはどうもこの村の村長さんらしい。
俺達が事情を話すと、お坊さん達はすぐさま俺達を座らせお経を読み
始めた。

暫らくお経を読んでいると、本堂の天井のほうから

「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」

という例の笑い声と

コツ…コツ…

という俺の部屋で聞いたあの音が聞こえてきた。
俺達はビビりまくって身を寄せ合っていた。
暫らくすると声が聞こえなくなった、俺が

「終ったか?」

言い切らないうちに、今度は本堂の横の庭のほうから

287 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/05/20(金) 22:07:05.17 ID:x83Y3WRH0

「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」

という声が聞こえ始めた。
そして、薄暗くなり始めた本堂の障子に、夕日に照らされたあの人形の
あたまが映し出された。
あたまはユラユラ揺れながら相変わらずあんぽ不気味な笑い声で
笑っている。

その時、俺は恐怖心と不安感と連日の寝不足でもう耐えられなく
なって、ちょっとおかしくなっていたんだとおもう。
人形の影を見て、恐怖心よりもその姿にイラつきはじめた。
ユラユラ揺れている姿を見ると、とにかくなんだか良く解らないがムカ
ついてきて、とうとう我慢できなくなった。

俺はお坊さん達がお経を読んでいる横の鉄の燭台を掴むと、蝋燭も
ささったまま引き抜き、周りが制止するのも振りきり障子を開けた。
目の前にあの人形の顔があった。

一瞬俺は恐怖心に襲われたが、怒りとイラつきが勝ってそのまま燭台
をぶら下がっている人形の頭めがけ

「ふざけんなーーーーーーーーーー!」

と叫びながら振り下ろした。

289 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/05/20(金) 22:08:42.37 ID:x83Y3WRH0

バキッ!

という音がして燭台の先端が人形の顔にめり込み、そのまま人形は地面に
落下した。
俺は裸足のまま庭に下りると、更に燭台を振りかぶり人形に打ち下ろした。
すると、なにか頭の中に妙な感覚が芽生え始めた。
人形はそれでもなお

「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」

と無機質に笑っている。
俺はおかしくも無いのに笑いたくなり、なきたくも無いのに目からボロボロと涙が
零れ落ちてくる。
明らかにE介たちと同じ状況になりつつあるのだが、それでも俺は燭台を
振りかぶり人形に打ち下ろすのをやめなかった。
あとから話を聞くと、俺はゲラゲラと笑いながら無表情でボロボロと涙を
流していたらしい。

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