ストーカー・きちがいの話
危険な好奇心

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次の日の朝、母親に起こされた時にはすでに午前8時を回っていた。
『遅刻する!』と慌てると母が『今日は家で寝てなさい。』と言う。
どうやら既に学校に事情を話したらしい。
父はすでに出社していたが、母はパートを休んでいた。
『おそらく、慎や淳も今日は学校を休んでいるだろう・・・』と思ったが、あえて電話はしなかった。
慎は恐らく、厳格な両親に怒られて、淳の両親は『不登校』になった淳の真実を知り、ショックを受けているだろうと思うと電話するのが恐かったから。
俺は自室に篭り、『中年女』が早く警察に捕まることだけを願っていた。
一時も早く追い詰められる『恐怖』から解放されたかった。

母親は何故か『中年女』の事を口にしてこなかった。俺への気配り?と思い、俺も何も言わなかった。
昼飯を食べ、ふたたび自室に篭っていると、『ドスっ』と家の外壁に鈍い音が響いた。
俺はとっさに『慎だ!』と思った。あいつは俺を呼び出す時、玄関の呼鈴を鳴らさず、窓に小石を投げてくる事がしばしばあったからだ。

688 『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M sage 2006/05/06(土) 03:14:45 ID:BiI+Rh5RO

俺は窓から外を眺めた。
家の前の路地にある電柱に慎がいるはず!と思ったが、慎の姿は無かった。
どこかに隠れているのかと思い、見える範囲で捜したが何処にもいない。
その時、俺の部屋の下にあたる庭先から『キャ!』と母親の声がした。
びっくりして窓を開け、身を乗り出し、下を見た。
そこには母親が地面を見つめながら口元に手を当てがい、何かを見て驚いていた。
俺は何が起こっているのか解らず
『どーしたの!』と聞いた。
母は俺の声にギクッと反応し、こちらを見上げ、驚いた表情で無言のまま家の外壁を指差した。
俺は良からぬ感じを察したが、母の指差す方向を見た。
そこには何やらドロっとした紫色した液体とゼリー状の物が付いていた。
先程の『ドスっ』の音の正体であろう。
視線を母の足元に落とし、その何かを捜した。
そこには内蔵が飛び出た大きな牛蛙の死体が落ちていた。
母はしばらく呆然と立ち尽くしていた。
俺はすぐに『中年女』が頭に浮かんだ。すぐに目で『中年女』の姿を捜したが何処にも姿は見えなかった。
母はふと思い出したように居間に駆け込み、警察に電話をした。

690 『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M sage 2006/05/06(土) 04:34:37 ID:BiI+Rh5RO

母は青い顔をしていた。恐らくこの時始めて『中年女』の異常性を知ったのだろう。
そうだ、あの女は異常なんだ。
きっと今も蛙を投げ込んできた後、俺や母の驚く姿を見てニヤついているはず。。
きっと近くから俺を見ているはず。。。
鳥肌が立った。
『警察早く来てくれ!』心の中で叫んだ。

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