ストーカー・きちがいの話
危険な好奇心

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俺はその目を知っている!
『中年女』にそのニヤついた目付きで見つめられた事のある俺にはすぐに淳の言う光景が浮かんだ。
更に淳は話を続けた。
『それにあの清掃おばさん、ゴミ回収に来た時、ふと見ると、何かやたら目が合うんだ。。俺がパッと見ると、俺の事をやたら見ているんだ。。。
半ニヤけで。。。』

それを聞き、俺が抱いていた疑問、【中年女=清掃おばさん】は確信に変わった。
やっぱりそうなんだ。
社会復帰していたんだ!
缶コーヒーを握る手が少し震えた。決して寒いからでは無い。体が反応しているんだ。
『あの恐怖』を体が覚えているんだ。。

64 『ハッピー・タッチ』 ◆XhRvhH3v3M 06/05/13 16:16:11 ID:xUdz0Q3M

その時、
俺の後方から突如、光が照らされた。
『コラ!』
振り向くと、そこには見回りをしている看護婦が立っていた。
『ちょっと淳君!どこにもいないと思ったらこんなとこに!消灯時間過ぎてから勝手に出歩いちゃダメって言ってるでしょ!
それに、お友達も面会時間はとっくに過ぎてるでしょ!』
と、かなり怒っていた。
淳は『はいはい。。。んぢゃまた近いうちに来てくれよな!』
と看護婦に車椅子を押され病室に戻って行った。
『おぅ!とりあえず、気つけろよ!』と言った。
俺もとりあえず帰るか。。。と思い、入って来た急患用出入口に向かった。
それにしても夜の病院は気味が悪い。さっきまで『あの女』の話をしていたからか?と思って歩いていると。。。
ん?
廊下の先に誰かがいる。
あれは。。。

清掃おばさん。。?

いや、
『中年女』、、か、、?

『中年女』らしき女が何かしている。。。

65 ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M 06/05/13 16:17:23 ID:xUdz0Q3M

間違いない!
『中年女』だ!
この先の出入口付近で何かしている!
俺はとっさに身を隠し、『中年女』の様子を伺った。
どうやら俺には気付かず、何かをしているようだ。。。
中腰の態勢で何かをしている。
俺は目を凝らし、しばらく観察を続けた。

何か大きな袋をゴソゴソし、もう一方に小分けしている?
尚も『中年女』はこちらに気付く様子も無く、必死で何かしている。


ひょっとして、病院内の収拾したゴミの分別をしているのか?(俺達の地元はゴミの分別がルールとなっている)

その時、後ろから
『ちょっと、まだいたの?私も遊びじゃないんだからいい加減にして!』と、さっきの看護婦が。
俺はドキッとし、
『あ、いや、帰ります!どーも・・・』
と言い、出入口に目をやると『中年女』はこちらに気付き、ジィーっとこちらを見ていた。

66 ハッピー・タッチ ◆XhRvhH3v3M 06/05/13 16:18:44 ID:xUdz0Q3M

『全く!』看護婦はそう吐き捨て、再び見回りに行った。
いや、それどころでは無い!
『中年女』に見つかってしまった!
どうすればいい?
逃げるべきか?
先程の看護婦に助けを求めるべきか?
俺の頭はグルグル回転し始め、心臓は勢いを増しながら鼓動した。
俺は『中年女』から目を離せずにいると、『中年女』は俺から視線を外し、何事も無かったように再びゴミの分別作業をし始めた。
『え!?』
俺は躊躇した。その想定外の行動に。。俺の頭には
『襲い掛かってくる』
『俺を見続ける』
『俺を見、ニヤける』
と、相手が俺に関わる動向を見せると思っていたからである。
俺はしばらく突っ立ったまま、『中年女』を見ていたが、黙々とゴミの分別をしていて、俺のことなど気にしていないようだった。
『何かの作戦か?』
と疑ったが、俺の脳裏にもう一つの思考が浮かんだ。

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