洒落怖
逆ナン

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617 1/10 sage 2009/07/25(土) 17:54:50 ID:P1SawmcOO
二年前の今頃。

その日、来週に迎える彼女の誕生日のプレゼントを買いに都内のある繁華街に居た。
俺はその日バイトが休みだったので昼過ぎからうろうろとプレゼントを物色していた。
交差点の向こうに彼女が気に入りそうなアクセのショップがあったなぁ…なんて考えながら、そのスクランブル交差点で信号待ちをしていた。

ふと、反対側の歩道の同じく信号待ちをしている人々の一番右端に居る赤いシャツの若い女性が視界に入った。
瞬間、背筋がぞわっとする感じがした。
視界の一番端に入っただけで直視した訳ではない。と言うか、直視出来ない何かを感じた。
霊感とか全くなかったけど、本能的に「あれ、ヤバい」って感じて、信号が青に替わったと同時に俺は斜め左前側に進路を進めた。

気のせいかな?とか自問自答しながら、薄気味悪かったので早くこの場所から離れようと思って早足で歩いてた。
それでも怖いもの見たさと言うか、どんな容姿なんだろ?とスケベ根性が頭を過り、一瞬だけ目線の先を右側に送った。

ちらっとだけしか見れなかったが、その女性らしき姿は其処にはなく、同時に、今度は全身の血が逆流するような身の毛のよだつ感覚と、鳥肌がぶわぁと立って、ガバッと反射的に前に向き直った。

赤シャツの女性は目の前に居た。

618 2/10 sage 2009/07/25(土) 17:56:36 ID:P1SawmcOO
セミロングの髪にチェックのミニスカにルーズソックス。
顔立ちや服装から女子高生に間違いないだろうが、生気が全く無い表情からこの世の者では無いと一目で本能的に理解した。
何より、赤いと思っていたシャツは彼女の首筋に真一文字に入った切り口から流れ出た大量の血が染めていた色だったからだ。

思わず「うっ」と呻く俺の傍らをその娘が通り過ぎる時、頭の中に直接、無数の虫の羽音に似た耳鳴りと共に、低いくぐもった女の声が響いて来た。
声ははっきりとした言葉としては認識出来なかったが、苦しみとか、怨みとか、怒りとか、色々な感情が渦巻いている様な、思念みたいな感情が脳にダイレクトに響いて来る感じだった。

気が付くと交差点の途中で硬直して立ち止まっていたらしく、車のクラクションで我に返った。

「・・・何だ・・・・・今の?」
周りを振り返っても赤シャツのJKは確認出来ず、白昼夢か幻を見たような・・・しかし全身は汗でびっしょりだった。

もうなんだかプレゼントを探す気力も失せて今日は帰る事にした。と言うか、あの一瞬の出来事でどっと疲労感が身体を重くしていた。
帰る道すがら、あの娘は一体何だったのか?色々考えていた。
自殺でもしてさ迷っているのか?とか、首筋の傷から誰かに殺害された娘なのか?とか、若いのに無念だったろうなぁとか…。
何だか無性に悲しくなり、柄にもなくちょっとだけ心の中で手を合わせてみた。

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