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もしかしたらそれがいけなかったのかも知れない。
619 3/10 sage 2009/07/25(土) 17:58:30 ID:P1SawmcOO
夕方4時頃、へとへとになりながらアパートのドアを開けた瞬間、誰かに思いっきり背中を蹴られて、つまずきながら両手を付いて玄関に倒れ込んだ。
振り返るとそこには誰も居なかった。直ぐさま外の共用廊下を見たが誰も居ない。
「・・・連れて帰って来ちゃった?」
元々霊感が無いので交差点ですれ違って以降、何かを感じる気配は無かった。
単純につまずいただけか?とか無理矢理自分に言い聞かせるように部屋に入った。
入ったと同時に部屋の一角に目が行った。
机の上に飾っていた彼女との2ショットの写真が、びりびりに破かれて机の上に散乱していた。
「連れて来たんじゃなくて・・・今、出ていった?」
虫の知らせか、何か嫌な予感がして俺は彼女の携帯に電話した。
・・・・・出ない。
多分これからバイトだろうから今電車の中か何かで出られないんだ、とか、また自分で自分に言い聞かせている。
心臓がバクバク鳴っている。俺はもう一度彼女に電話を掛ける。出ない。
いてもたってもいられなくて、取り敢えず彼女の安否を確認したくなって彼女のバイト先に行ってみようと思った矢先、携帯が鳴った。
良かったぁと思って着信画面を確認すると、非通知の表示だった。
620 4/10 sage 2009/07/25(土) 18:00:20 ID:P1SawmcOO
「・・・もしもし」
声はない。代わりに電波が悪いのか、スピーカーの向こうからは雑音みたいなノイズしか聴こえて来ない。
「もしもし?・・・・・もしもし!」
何か向こうで話してるような気もするのだが、雑音が酷すぎて聞き取れない。
埒が明かないので携帯を切った。切った瞬間、違和感に気付いた。
「何で着信音鳴ってんだ?」
通常俺は非通知着信は受信拒否に設定している。ただ拒否に設定していてもピリリと一瞬だけ音が鳴ってしまう。
だが着信音は非通知だったにも関わらず俺が出るまでの数秒鳴り続けていた。
背中を冷や汗が滴るのを感じ、頭の中で何かヤバい、何かヤバいと思ってたらまた携帯が鳴った。
非通知だった。
暫く出ようかどうか画面を凝視したまま固まっていたが、意を決して出ることにした。
「・・・・・・・誰?」
相変わらずノイズが酷かったが、向こうの声を聞き取ろうと受話器に当てた耳に神経を集中した。
「・・・・・・・・・・・・ワ・・・・・・・タ・・・・シ・・」
怖くて携帯を放り投げた。女の声だった。
621 5/10 sage 2009/07/25(土) 18:01:38 ID:P1SawmcOO
何をどう整理して考えればいいのか分からず、頭の芯がカーッと熱くなり目眩がして倒れそうになった。
それでも、彼女の身にも何か善からぬ事が起こりそうな不安が拭えず、もう一度携帯を拾い上げ、アパートを飛び出した。