洒落怖
豚の餌

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185 1 sage 2011/07/20(水) 00:19:00.16 ID:5lZrEPwA0
アレはいつだったか・・・

当時バーテンダー見習いとして働いていたんだが
これが相当酷いもんだった
慕っていた頼れる先輩が飛び、誰かに師事するという事も出来ず
無様にカコカコ鳴らし見よう見まねで
クソマズイ、カクテルもどきを作り
イッチョまえにカッコつけてお客さんにお出しするという、とんでもないバーテンダーになっていた

配合量などは十分合っている筈なのに
技術が無いため、素人は騙せてもお酒好きは騙せない酒を作っていた
情けない・・・

最高のバーテンダーだった先輩目当てに通っていた客も徐々に足が遠のき、
以前とは客層も少々変わってしまっていた
ハンチクな腕前、未熟な話術、先輩には遠く及ばない容姿、マズイ酒・・・
流行る方がオカシイってもんだ

そんなある日一人のスーツ姿の背の高い、いかにもその道の人だろう客が来た
見た目は20代・・いや、30代・・待てよ・・40代・・・
俺より若くも見えるし遥かに上のようにも見える

こういう時は大抵年上という黄金パターンがあるもんだが
触らぬ神に祟りなしw
触れずに置こうw

186 2 sage 2011/07/20(水) 00:21:56.29 ID:5lZrEPwA0
「適当に頼む」

「好きな酒や嫌いな酒、好みなどはありますか?」

「黙って作れ」

「・・・はい・・」

心温まる会話をありがとう
俺のクソマズイ自信作を食らいやがれ

「マズイ」
デスヨネー

「申し訳ございません、とある事情で未熟者がここに立たせて頂いてます。
  お気に召さないようでしたらウィスキーや焼酎などご用意させていただきます」

「それを寄こせ、濃い方がいい」

好みあるんじゃねーか、先に言えや!!

まぁまぁよく飲む事5杯目を飲み干し
また新しく注ぐ頃、彼は静かに語りだした
「バーテン、お前は自分の手を汚した事があるか?」

「いえ、私は良くも悪くもただの一般人です。一般人の範囲でお答えできるなら
  綺麗な方ではないのかもしれませんが」

「そうか、俺は毎日のように汚してる。今日も汚してきた・・・
  どんなに洗ってもこの汚れは落ちないな」

コエーよヤべーよ逃げてーYO!

187 3 sage 2011/07/20(水) 00:23:29.46 ID:5lZrEPwA0
「お前、豚は食った事はあるか?」

「えぇ?まぁ人並みに好きではありますね?」

「そうか。では豚のエサってなにか知ってるか?」

「肉を柔らかくするためにワインなどを混ぜたり・・米とか食べると聞きますね」

「あぁ、まともな所ならまともな物を食べさせてる」
「だがな、アレらは雑食なんだ。なんでも綺麗に食べる。それこそ骨すら残さずに」

ピーンときたね
とても悪い方向に・・・
いや・・まさか・・

青ざめる俺の顔を見て彼は表情を和らげ
「ごちそうさん、お前が成長しうまい酒を作れるようになった頃また来る」

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