洒落怖
深夜の潮干狩り

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もう10年も前の話になるんだが、いまだに思い出すと不思議で怖い。
自分には霊感なんか無く、肝試しや夜の山とか海とか人並みに行ってたけど
霊体験なんてしたことなかった。
信じてないわけでもなく、普通に怖がりだけどテレビで見たり文章を読んだりする程度。

その時も、当時の彼女とデートというわけでもないけど
車でふらふらしながら行き先もなくドライブしてた。
たしか、平日で近場の夜景を見に行ってラーメン食べて帰りしなに海でも寄る?って感じだったと思う。
翌日休みだったから朝まで車でフラフラしてるのがよくある事だったんだけど
その日はなんとなく海でヤドカリ用の貝があるか探してみようかって話になった。

その海は 潮干狩りもするしイベント事もあり怖い話なんて聞いた事もない
地元民なら何度か行ったことのあるわりと有名なヨットハーバー。
駐車場も広いし、砂浜もあるし、週末にはナンパ車が集まったりカップルがいたりする普通の海。
なぜか車が1台もいなかったけど、平日だし夜中だったし「今日人いないな」程度だった。
もともと街灯が届くので 暗い海でもないのだけど、その日は月がすごく明るくて砂浜もすいすい歩けた。

888 2P sage 2010/10/05(火) 20:00:44 ID:UdLHnodm0
つきあって数年たってたカップルとしては特にいちゃいちゃもせず2人は距離を置いて貝を探してたんだけど
ゴミや海草が多く、なかなか割れてない貝は見つからない。
少したって、彼女が「これヤドカリ入ったらかわいくない?」と言ったので近付いてみた。
白い巻貝で欠けも無く大きさもいい感じで「いいね持って帰ろう」と俺は言った。
その時、ふと彼女の右手を見ると 長い髪の毛がからんでた。
彼女はショートカット。
俺は排水溝に溜まった濡れた髪の毛を思い出し、少し気持ち悪くなった。
別に霊的な感じで気持ち悪いわけではなかった。
海に来た人の抜け毛としか思わなかった。
俺は「きもいなー」と言いながら髪の毛を捨て、貝を海の水で洗った。

他にも無いか探そうとすると彼女が「もう帰ろう。」と言い出した。
まだ1つしか見つけてないし、砂浜は広い。
月明かりでなんかいい感じだし 俺はもう少しいたかった。
「月の光を瞼に受けて とてもキレイな気持ちになる」とアンルイスの歌が聞こえてくるようだった。
時計を見ると3時前。まだ早いと思った俺は「もう少し」と渋った。
しかし彼女は俺の手をにぎり、急ぎ足で車へと向かう。
ちょっとむかついて何か言おうとした時、ふと左を見ると堤防の手前の砂浜を男子学生が歩いていた。
なぜ学生とわかったかと言うと、学生帽をかぶって学ランを着ていたのだ。
「へー今時 学生帽ってあるんだ」と感心してしまい
彼女に「ちょっとあの子見てよ めずらしいよ」と小声で伝えた。

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