洒落怖
夏休みのバイト

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全員ビクッ!としていると、Bが「…動物でも入り込んでんじゃねーの?」と明らかに自信無さそうに言っているが、
昨日の今日なので流石に怖い。しかし確認して安心したいという気持ちもある。
そこで、3人で勇気を振り絞り、薄暗い廊下を奥へと行ってみる事にした。
ミシ…ギシ…、床は湿気で相当モロくなっているらしく、歩くたびにいやな音がしてくる、それに奥のほうのガサガサいう
音も消える気配が無い、それでも勇気を振り絞って進んでいくと、廊下の奥の暗がりに音の正体があった…

それは…腹の辺りからドクドクと血を流している猫だった。
まだ微かに生きているらしく、もがいて動き回るのでガサガサと周囲に脚が当って音がしていたらしい。
俺達はそれを見た途端、「うあああああああああああああああ!」と叫び声をあげてその場から逃げ出した。
別荘の外まで逃げ出し、暫らく放心状態でいたが、Aが「あの猫、きっともう死んでるよな…何であんなところに…」
と喋り出した。俺も「そもそも何であんなところに大怪我した猫が?おかしいだろ!」というと、Bが「とりあえず
もう一回確認に行ったほうがよくないか…」と言ってきた。

確かにあのままにしてはおけないので、俺達はもう一度廊下の奥へ行ってみる事にした、
が、行ってみるとさっき猫がいた場所には何もいない、血らしい沁みはあるのだがそれだけで、あれだけドクドク
流れていた血すらない。

203 夏休みのバイト6 sage New! 2011/05/05(木) 20:53:37.34 ID:dLlXuy+O0
3人とも「どういうこと?」という顔でお互いを顔も見合わせ、周囲を探してみたのだがやはりいない。
廊下の奥には扉が1つあったのだが、鍵がかかっているらしくビクともせず、そこにいるとも思えないので俺達は
ひとまず戻る事にした。
俺もAもBも訳が解らなかったし不気味だったが、作業は終っていないしもう日が高くなってきていたので、怖さを
紛らわすように荷物を運び出す作業を始めた。

昼飯中、Bがボソっと「面接もなしに即決だったのとか、やたら待遇が良いのとか、作業するのが俺達だけで監督するやつも
誰もいないのとか、要するにこれが原因じゃねーの…?」と。確かにそうだ、俺達は今更ながらこのバイトがやたら不自然で
変な事に気が付いた。
Aが「今日だけ作業してさ、それで今日までの給料もらって帰らねえか?」と言い出した。
しかし俺はこういった「一応3泊4日の契約だろ?最後までやらなかったら給料払わないとか言われたらどうするよ、
それに、『良く解らない何か変なものがいるからもうやめます』なんて通用すると思うか?実害も無いのに」と。
AもBも「そうだよな…」と言い、とにかく早く終らせてしまおう、そしてバンが来たら一応事情を聞こうという話になった。

夕方、とにかく早くこの場を去りたい俺達は必死で作業を頑張り、2軒目の荷物もその日のうちにほぼ全て外に出した。
バンが来ると、乗っていたおじさんに俺達はそれとなくここで変な事がないか聞いてみたのだが、どうもおじさんも
頼まれて来ているだけでここのことは良く知らないらしい。
俺達は結局何の情報も得られないまま最後の夜を迎える事になった…
今から考えると、名刺を渡されていたのだからさっさとそこに電話すべきだったのだが。

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