洒落怖
夏休みのバイト

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204 夏休みのバイト7 sage New! 2011/05/05(木) 20:54:30.37 ID:dLlXuy+O0
その夜、事件が起きた。
俺とAがリビングでモンハンをしていると、風呂に入っていたBが飛び出してきて「おい、やべーよ!またあの音するぞ!」と
言ってきた。
時間は夜の10時頃。
Bが言うには、風呂から上がって服をきているときに、脱衣所の窓からズル…ズル…と昨日と同じ音が聞こえてきた
らしく、大慌てでこっちへ逃げてきたらしい。
俺達は今度こそ音の正体を突き止めなければと、玄関にあった懐中電灯を片手に外へ出てみることにして、準備をすると
外に出た。怖さも勿論あったが、実害は今のところ無いし、恐怖心よりも好奇心のほうが勝ったからだった。
これがいけなかった。

外に出ると、昨日と同じでやはり何か1mちょっとくらいのものが動いている。
懐中電灯を向けようとすると、それはそのまま隣の別荘へとスッと入っていってしまい見えなくなった。
いなくなったほうへ行くと、別荘の鍵はかけたはずなのになぜか玄関のドアが開いている。
とにかくここにこうしているわけにも行かないし、何より鍵を閉めたはずなのに空いているのは事実なのだから、中を
確認しないわけにも行かない俺達は、3人で目配せすると中に入る事にした。

中に入ると、元からかび臭い建物ではあったのだが、それ以外に何か生臭いような変な臭いが立ち込めている。
異様な雰囲気の中、俺は廊下の電気をつけようとスイッチを探していてある事に気が付いた、玄関の横、靴箱の上の壁に、
花瓶が死角になって今まで見えていなかったのだが、明らかにそれと解るお札が貼ってあり、電気をつけて良く調べてみると、
そこだけでは無く廊下の天井にもお札が貼ってあるのが解った。
俺とAとBは「やっぱそういうことかよ…」と顔を見合わせた。

するとその時、廊下の曲がったほうの奥、例の瀕死の猫がいたところあたりからギィ…と扉が開く音がした。
あの先には例の鍵がかかっていて開かなかった扉しかない。
そして、廊下の曲がり角からベチャ…ズズ…ベチャ…ズズ…と何かを引き摺るような気持ちの悪い音がしてきた。
俺達は完全にビビってしまい、何も喋れず動けずその場で立ち尽くしていると、廊下の角からこちらを何かが覗き込んだ。
俺達は息を飲んだ。

205 夏休みのバイト8 sage New! 2011/05/05(木) 20:55:02.82 ID:dLlXuy+O0
それは人間の子供サイズの日本人形だった、日本人形の首だけが無表情に廊下の角からこちらを覗き込んできている。
俺は「…え…ちょ…」と声にならない声を出しながら後ずさりし始めた。
AもBも同じで、あまりにも不気味な光景に後ずさりしている。
人形は一度首を引っ込めると今度は体全体が廊下に出てきたのだが、その姿は身の毛もよだつという言葉がまさにぴったり
来る異様さだった。

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