洒落怖
六年一組(長文)

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 そして十年・・・

 牧村はその後無事に小学校を卒業し中学、高校と進んでいった。もはや彼の頭の中にも内木の
存在は徐々に薄れてきていた。牧村は現在二十二歳となっていた。
 そんな彼の元に、一通の不思議な手紙が来た。牧村はその手紙を見て愕然とした。
『六年一組同窓会のお知らせ』

「そ、そんなバカな!」
 牧村がそう思うのは無理も無かった。六年一組で生きているのは彼だけである。あとは全員が
死んでいるのだ。その彼の元にどうして同窓会の通知が来るのか。

 しかし、彼は同窓会の会場に向かった。牧村にはこの同窓会の知らせを無視する事が
出来なかった。何かに手招きでもされるかのように、牧村は会場へと歩いた。
 会場はかつて牧村が通った小学校。忌まわしい思い出ばかりのこの小学校へ牧村は卒業後一切
近寄らなかった。しかし今、牧村は再び校門をくぐった。
 時間は深夜0時。同窓会を行う時間としては適当ではない。それでも牧村は行った。
 季節は寒い冬。牧村はコートの襟を立て、白い息を吐きながら、会場の教室へと歩いた。
 カツーンカツーン。深夜の校内に牧村の靴音が冷たく響いた。

やがて牧村は見つけた。『六年一組同窓会会場』と案内の紙が貼られた扉を。
 牧村はドアのノブを握った。ドアの向こうはシーンとしている。誰の気配も感じられない。

 ギイ~

 牧村は会場に入った。このとき牧村は気づいていないがドアに『六年一組同窓会会場』と
貼ってあった紙。それが牧村が室内に入ると同時に剥がれ落ちた。その紙はくるりと半回転
して床に落ちた。それはかつての答案用紙。あの日、内木が自らの血で書いた文字が書かれて
いる紙だった。
(みんなころしてやる)

 会場、そこはかつて内木が首吊り自殺を行った理科準備室であった。室内は暗い。同窓会など
やってはいない。
 牧村は暗闇の中、ただ立っていた。そして徐々に見えてきた。
 まるで綱引きにでも用いられる太いロープ。その端末は輪状となって結ばれている。それが
天井からぶら下がっている。

 その輪の向こう、うっすらと人影が見えてきた。牧村を見て、不気味に笑う者。
「待っていたよ・・・ 牧村くん・・・ きみのロープだ・・・」

「うわあああああ!!」

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  • 匿名 より:

    ガラケの時からあったよな
    随分昔のネタ

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