洒落怖
六年一組(長文)

この怖い話は約 3 分で読めます。

 しかし、蛭田、そしてその子分の高橋と中村が死んでより、理科準備室から内木の声は聞こえなく
なった。また死者も出ず、内木の自殺から異様な雰囲気であった六年一組の教室に静けさが戻りつつ
あった。牧村も落ち着きを取り戻し、内木の復讐の呪いは終わったのだと解釈し、再び学校に登校
した。
 この日は遠足である。集合場所でもある一組の教室に牧村は久しぶりに入った。今までの不登校の
負い目を拭い去るかのように牧村は元気良く教室のドアを開けた。
「みんな、おはよう!」
 クラスメイトたちは久しぶりに登校してきた牧村を温かく迎えた。牧村が内木の復讐を恐れている
のは誰もが知っている。
「よう牧村、久しぶり!」
「何よ、牧村くん、少し太ったんじゃない?」

クラスメイトの反応にホッとしつつ、牧村は背負っていたリュックを降ろした。クラスメイト
たちは遠足の期待に浮かれ、バスの到着を今か今かと待ちわびていた。だが、牧村にはまた見えて
しまった。クラスメイト一人一人、全員の首にロープが巻かれている。女子も例外ではない。全員
にである。
 誰一人、そのロープに気づかない。牧村にしか見えないのだ。クラス全員の首にロープを束に
して持っている者。それは内木だった。
「う、内木くん・・・」
 空中に浮かぶようにして、内木の姿がある。ロープの束を持ち、笑う内木の顔がある。これから
自分をイジメぬいた者たちを皆殺しに出来る喜びか、内木の顔は喜色満面である。内木は牧村を
見ない。クラスメイトたちの首に巻いたロープを嬉しそうに見つめているだけだ。牧村は自分の首
にもロープがあるかを見た。牧村の首にロープは無い。しかし彼は狂ったかのように、首から
ロープを取り払うべく暴れだした。

「う、う、うわあああ!!」
 突如に暴れだした、牧村にクラスメイトたちはあっけに取られた。
「牧村、どうしたんだよ?」
 首に内木のロープが巻かれていると知らない牧村の友は怪訝そうに牧村に詰め寄った。

 その言葉に、牧村が顔を上げたときである。その友の背後には、まだロープの束を持ち笑って
いる内木が牧村を見ていた。牧村と内木の目が合ったのである。

「ギャアアア!!」
 牧村はリュックも置きっぱなしで、教室を飛び出していった。恐怖のあまり涙は流れ、小便と
大便が垂れ流しであった。牧村は半狂乱状態で家に駆けた。まだ終わっていなかった。内木の
復讐は終わっていなかったのである。
 その日、六年一組を乗せたバスは山の側道を走行中にガードレールを突き破り、谷底に落下した。
 運転手、バスガイド、そして六年一組全員が死亡した。

 ついに牧村以外は全員死んでしまったのである。牧村は怯えた。
「次はボクだ・・・ 次はボクだ・・・ 内木くんは最後にボクを殺す気なんだ・・・」
 内木の復讐に怯える日々を牧村は送った。いっそ自分も死んだら楽になれると考えたほどである。
 しかし彼は自分で死ぬことが出来なかった。

この怖い話にコメントする

  • 匿名 より:

    ガラケの時からあったよな
    随分昔のネタ

  • 六年一組(長文)