売れ残り物件

自覚している限り、霊能力はゼロに等しいと思っている私が先日体験した話です。
少し状況を整理したいので前置きが長くなってしまいますがお許しください。

私は埼玉県の不動産屋で働いています。
取り扱っているのは売買の仲介であり、広告媒体等に掲載する為に物件を調査し、現地写真を撮影しに行くのも仕事の一環になっています。

とあるデベロッパーが新築分譲した全20棟の大きな現場があるのですが、この現場が今回体験したお話の舞台となります。

現場の配置は下記のようなかたちになります。(行間等がずれて見づらくなってしまったらすみません)

851 本当にあった怖い名無し 2013/10/29(火) 16:36:40.14 ID:Q/uQmGXT0
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852 本当にあった怖い名無し 2013/10/29(火) 16:38:47.81 ID:Q/uQmGXT0
案の定思い切りずれてますね(悩)

新築分譲とは言っても、販売が開始されたのは3年ほど前からの売れ残り現場です。
立地条件も申し分なく、価格帯も適正な現場である為、1年もあれば完売するだろうと誰もが見込んでいた現場でしたが、図のN・Q・R区画は未だに買い手がつかず、売主業者も頭を抱えている状況です。

ではどうして買い手がつかないのか?
それはこの現場が“出る”と噂される現場だからなのです。

853 本当にあった怖い名無し 2013/10/29(火) 16:41:03.01 ID:Q/uQmGXT0
分譲開始当時、図のH・I・L・Mの各区画は路地状敷地形態(不動産業界では敷延物件と呼んでいます)と言って、他区画に比べて不整形な土地であった為、他区画よりも販売価格を安く抑えて売り出されました。
不景気の世の中ですから、質より価格を選ぶ顧客は多く、この現場内でもH・I・L・Mの各区画はすぐに買い手がつきました。
M宅の引渡しから半年程経ったある日、M宅のご主人が2階の納戸で首を吊って亡くなっているのが発見されました。
会社をリストラされて一家は離散し、残ったのは数千万の住宅ローンのみ…追い詰められての自殺だったのでしょう。
悲しいかな、このご時世を考えればよくあることですが、M宅は親族の要望で売主業者を通してエンドユーザーへ売却する運びとなりました。
完売前の分譲地内でこのような事件が起こることは、売主業者としても相当な痛手だったようで、当時、担当の田中さん(仮名)も長期戦を覚悟しなければならないと溜息をついていました。

856 本当にあった怖い名無し 2013/10/29(火) 16:45:07.42 ID:Q/uQmGXT0
そうは言っても、それから1年も経った頃には、G・N・Q・R区画とM宅を除く区画は買い手がついていたのですが、この頃から分譲地に住まわれているいくつかの家庭に立て続けに不幸が起こり始めました。
まず、L宅でボヤ騒ぎが発生しました。
幸い死傷者も出ず、被害も周りに及ぶほどのものではありませんでした。
次に、I宅のご夫婦が離婚され売却する運びとなり、J宅では奥様が交通事故で亡くなられました。

全て偶然なのかもしれませんが、こうも立て続けですと、さすがに不気味過ぎるとのことで、分譲開始から2年を経過した頃、売主業者から私の勤めている会社にG・N・Q・R区画の販売委託の話が持ちかけられ、現在に至ります。

857 本当にあった怖い名無し 2013/10/29(火) 17:05:06.93 ID:Q/uQmGXT0
そのような現場でしたが、私達としては、取り立てて特別視することもなく、いつものように物件を調査し、現地や周辺環境の確認する運びとなりました。
分譲地内の居住者宅を訪問した際、S・T区画には2区画を同時に購入して整骨院を開業した先生が住んでいるのですが、気さくな方だったのでお話を伺ってみたところ、「M宅に隣接している家でばかり不幸が続いているような気がして不気味だよねぇ」と笑っていました。

それから半年後、今から半年前のことなのですが、G区画の買い手がついて「よし、次も頑張ろう!」というタイミングでS・T宅の整骨院の先生が自宅の浴槽で亡くなっているのが発見されました。
親族の方の話を伺ったところ、死因は急性心筋梗塞で事件性はないとのことでしたが、直接お話をした私としては初めてこの分譲地に何か嫌な気持ちにさせられる事件でした。

9月のこと、それまで販売委託されていたN・Q・R区画に加えて、M宅についても委託されることとなりました。
不謹慎な話ですが、自殺物件と聞いて営業部の人間達は大層盛り上がっていたようで、早速何人かの営業が連れ立ってM宅の内見に出かけていきました。

859 本当にあった怖い名無し 2013/10/29(火) 17:11:14.70 ID:Q/uQmGXT0
帰ってきた連中は口々に「あそこはマジでヤバイ!」と連呼しており、何がヤバイのかと尋ねてみたところ、「他の区画と違って空気が重い」、「圧倒的に暗い」、「いくら換気をしても湿った感じがする」等、ありきたりな感想を返してきました。
ひとつ気になったのは、共通して「何もない家の中から“キン!”と得体のしれない音が鳴る。アレがマジでヤバイ」と言うものでした。
柱や床鳴り等を疑ったのですが、その建物は木造住宅で、聞こえてくる“キン!”という音は金属音のような電子音のような、表現しづらいけれど不快な音で、指摘されたような音ではないとのことでした。
そこで営業の一人が質問してきました、
「重要事項説明書(契約前に顧客に説明しなければならない物件の説明書)に入れなくていいの?」
と…

M宅の場合は、そこで居住者が自殺したという事実は告知事項として載せなければならないのですが、幽霊やそれに類するものは科学的な根拠がなければ載せる必要はないと判例が出ています。
状況的には、誰が行っても必ずその音はどこからか聞こえてくるので告知した方がいい…しかし根拠もないのに載せたら載せたでそれは問題ということで、結果として私も直接行って確かめてみるべきという話になりました。

862 本当にあった怖い名無し 2013/10/29(火) 17:25:48.41 ID:Q/uQmGXT0
本当に前置きが長くなってしまいましたが、ここからが本題です。

前述の経緯により、自称霊能力ありという営業の佐藤君(仮名)と私とで、先日、件のM宅の内見に出かけました。

佐藤君は皆の話を聞いてすっかり怯えていましたが、営業なんだし見ておかなきゃダメだろうと責められて、渋々同行といった感じでした。

私はと言えば、この分譲地については、私自身が事前調査を行って法務局の古地図等を閲覧しても過去に墓場や刑場等だったという利用形態も見当たらなかったので、皆大袈裟だなぁとしか思っていませんでした。
佐藤君の車に乗せて貰って現地に到着するなり、佐藤君は「うわっ!マジで空気重いっすよ!ホントにヤバイっすよここ!」と連呼していましたが、それには構わず広告掲載用の写真を撮っておこうと早速外観チェックに取り掛かりました。

奥まった所に本地のある敷地形態だけあり、各方位に建つ建物に取り囲まれていて、他の区画に比べると日当たりは良好とは言えない場所なので、これなら確かに不気味な雰囲気と言われても仕方ないなぁと思いました。

868 本当にあった怖い名無し 2013/10/29(火) 18:00:46.64 ID:Q/uQmGXT0
続いて、玄関脇の雨樋に吊るしてあるキーボックスから鍵を取り出そうとしたところ、玄関扉が開いていることに気付きました。
誰かが鍵を閉め忘れたか、それとも先客がいるのか?
そんなことを考えながらごめんくださいと玄関扉を開けてみました。

入口から見る間取りは、玄関を入ってすぐ右側に直線上の階段があり、その左隣の廊下の先に居間に続く扉があるという家でした。
居間に続く扉は閉まっており、階段途中の採光窓から陽は差しているのですが、それでもやはり薄暗い家といった印象を持ちました。
佐藤君は後ろから「階段を上がった先がヤバイ!」と騒いでましたが、それは奥の納戸で自殺があったからって先入観でしょと流して玄関内に足を踏み入れました。

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