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M宅の場合は、そこで居住者が自殺したという事実は告知事項として載せなければならないのですが、幽霊やそれに類するものは科学的な根拠がなければ載せる必要はないと判例が出ています。
状況的には、誰が行っても必ずその音はどこからか聞こえてくるので告知した方がいい…しかし根拠もないのに載せたら載せたでそれは問題ということで、結果として私も直接行って確かめてみるべきという話になりました。

862 本当にあった怖い名無し 2013/10/29(火) 17:25:48.41 ID:Q/uQmGXT0
本当に前置きが長くなってしまいましたが、ここからが本題です。

前述の経緯により、自称霊能力ありという営業の佐藤君(仮名)と私とで、先日、件のM宅の内見に出かけました。

佐藤君は皆の話を聞いてすっかり怯えていましたが、営業なんだし見ておかなきゃダメだろうと責められて、渋々同行といった感じでした。

私はと言えば、この分譲地については、私自身が事前調査を行って法務局の古地図等を閲覧しても過去に墓場や刑場等だったという利用形態も見当たらなかったので、皆大袈裟だなぁとしか思っていませんでした。
佐藤君の車に乗せて貰って現地に到着するなり、佐藤君は「うわっ!マジで空気重いっすよ!ホントにヤバイっすよここ!」と連呼していましたが、それには構わず広告掲載用の写真を撮っておこうと早速外観チェックに取り掛かりました。

奥まった所に本地のある敷地形態だけあり、各方位に建つ建物に取り囲まれていて、他の区画に比べると日当たりは良好とは言えない場所なので、これなら確かに不気味な雰囲気と言われても仕方ないなぁと思いました。

868 本当にあった怖い名無し 2013/10/29(火) 18:00:46.64 ID:Q/uQmGXT0
続いて、玄関脇の雨樋に吊るしてあるキーボックスから鍵を取り出そうとしたところ、玄関扉が開いていることに気付きました。
誰かが鍵を閉め忘れたか、それとも先客がいるのか?
そんなことを考えながらごめんくださいと玄関扉を開けてみました。

入口から見る間取りは、玄関を入ってすぐ右側に直線上の階段があり、その左隣の廊下の先に居間に続く扉があるという家でした。
居間に続く扉は閉まっており、階段途中の採光窓から陽は差しているのですが、それでもやはり薄暗い家といった印象を持ちました。
佐藤君は後ろから「階段を上がった先がヤバイ!」と騒いでましたが、それは奥の納戸で自殺があったからって先入観でしょと流して玄関内に足を踏み入れました。

踏み入れた瞬間、件の“キン!”という音が鳴りました。
佐藤君は「もうこれ以上進めません」とそこでギブアップしてしまいました。
私はと言えば、不意打ちだったので「えっ!?」と一瞬ビックリしてしまいましたが、先客もいるかもしれないし、その人の発した音かもしれないということで、構わず上がっていきました。

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