洒落怖
道連れ

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男性・・・瑠之介(りゅうのすけ)さんは所謂、『視える』人らしく、私達を迎えにお寺から一番近くにある大通りまで出た時
そこにある二つに分かれた道で、まるで女郎蜘蛛が獲物を糸で絡めとる様に・・・お寺に行く道とは反対の森へ続く道から
本来、人の目には見えない『悪意』に満たされたエネルギーの糸の様な物が伸びていたらしいのです。

そして、その糸は瑠之介さんの目の前で、もう既に獲物を絡めとり、奥へと誘っているかの如く、奥へ奥へと後退していったらしいです。
そうして、その糸を辿って行ってみたら、その糸の先にこの車があり、私達がいたそうです。
私とエリカちゃんは恐怖で完全に腰が抜けてしまった芽衣子ちゃんを支え、瑠之介さんとお寺に行きました。

そこで、芽衣子ちゃんと、巻き込まれた私とエリカちゃんも御祓いを受けたのですが、
その途中、芽衣子ちゃんが異常に苦しみ始めまるで赤ちゃんの様に泣き始めたのです。
私とエリカちゃんは慌てて支えようとしましたが、瑠之介さんの鋭い声に静止され動く事が出来なくなってしまいました。

瑠之介さん曰く、あれは生まれて来られなかった赤ちゃんの霊・・・水子の霊だそうで、
優しくされるとその人に憑いてしまうかもしれないのだそうです。
だから、可哀想だけれども、その赤ちゃんの霊を成仏させてあげる為にも心を鬼にして突き放す事が必要なのだそうです。
瑠之介さんがお経を読み進めると読み進める程、芽衣子ちゃんは苦しみ泣き叫びました。
しかし、その声は徐々に小さくなり、お経が終わる頃には、そこにはぐったりとした様子の芽衣子ちゃんがいました。
瑠之介さんが言う事には、芽衣子ちゃんには本来生まれて来る筈だった芽衣子ちゃんのお姉さんである赤ちゃんの霊が憑いていたそうです。
そのお姉さんは芽衣子ちゃんが羨ましかったのだそうです。
122 :夕紅 ◆e/DkDKVoCg @\(^o^)/:2015/03/12(木) 01:14:27.15 ID:1OAocZey0.net[8/8]
そして、ここからは芽衣子ちゃんがお母さんから聞いた話も含みます。

昨年まではちゃんと芽衣子ちゃんのお母さんが月命日には毎回お参りをしていたそうなのですが、
今年は芽衣子ちゃんが受験をする年でもあったので、かなり忙しく、
月命日にお参りに行くのも忘れてしまったのだそうです。

それをお姉さんの霊は忘れられたと勘違いし、その勘違いが
『妹ばかり愛されている』
『私は死んだのに妹ばかりずるい』
『私も生きたかった』
という気持ちを生み出し、芽衣子ちゃんが上手く行ったり、幸せになるのを妨害していたのだそうです。

そして、最終的には
『お前も死ねばいいのに』
という気持ちに繋がり、あの命の危険に繋がる数々の事故を生み出していたのだそうです。

翌日、芽衣子ちゃんとお母さんはお姉さんのお墓にお参りに行きました。
そして、手厚く供養して貰ったそうです。
そのお陰なのか、或いは瑠之介さんの御祓いの効果なのか、あの日以来芽衣子ちゃんの身に不思議な出来事や命の危険を伴う事故
はなくなり、あの首を絞められる恐ろしい悪夢を見る事もなくなったそうです。

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