洒落怖
道連れ

この怖い話は約 3 分で読めます。

そして、店を出て45分位走った辺りでしょうか。
目的地のお寺までかなり近付いた辺りだと思います。
車は徐々に人気のない寂しい道に入っていったのですが。
「ねぇ、本当にこの道で合ってるの?」
「お兄ちゃんから貰った地図にはこの辺りって書いてあるけど。」
走れども走れどもお寺らしき建物は何も見えて来ず、私達は徐々に不安に苛まれ始めました。
そこは道の片側に深い森の様な場所がある、昼間でも少し暗く、人の声すら聞こえて来ない様な静かな道でした。
どれだけ進んでも、お寺は見えて来ません。
不安になった私達は、一度大きな通りまで引き返して、そこで道を聞こうという事になりました。
そして、その道を引き返そうとした瞬間

オギャァー・・・オギャァー・・・・

車内に僅かに赤ちゃんの泣き声の様なものが響いたのです。
「え・・・・・?」
「・・・・・今、何か聞こえなかった?」
何かの聞き間違いだったのだろうか。
全員がそう思おうとした瞬間

オギャァー・・・!オギャァー・・・!

先程より大きな声で、それは響いたのです。
(やばい・・・!確実に何かいる・・・!)
私達は全員そう確信しました。
120 :夕紅 ◆e/DkDKVoCg @\(^o^)/:2015/03/12(木) 01:12:15.04 ID:1OAocZey0.net[6/8]
次の瞬間

ドンッ!!!

と車のボンネットに強い衝撃が走り、一瞬全員が上を見上げました。
「何これ?!」
「もうやだぁ!」
半ば悲鳴に近い声が上がり始めたその時
「あ、あ・・・あれ!!!」
エリカちゃんが車のフロントガラスを指差し、固まっていました。
その目は恐怖に見開かれ、私達は見てはいけないとわかっているのに、ついそちらを見てしまいました。
すると、そこには・・・
「きゃああああああ!!!!!!」
産まれたばかりでしょうか・・・体に胎盤の様なものをつけたままの血まみれの赤ちゃんがフロントガラスにしがみついていたのです。

オギャァー・・・!オギャァー・・・!

赤ちゃんは泣きながら血まみれの手を振り上げ、何度もフロントガラスを叩きました。
その度に、フロントガラスは紅く染まり、赤ちゃんの力ではありえない筈なのに車がドンッと揺れました。
もう私達は怖くて泣きながら互いに抱き合い、身を寄せ合いました。
どれだけそうしていたでしょうか。
その時の私達には恐怖で時間の感覚などなくなっていました。
ただ、恐ろしく長い時間が経った様な気だけはしていました。

すると、そこに。
コンコン!
サイドの窓を叩く音が響きました。
「ひいっ?!」
「きゃぁ!!」
慌ててそちらを振り向いてみると、そこにはとても心配そうな顔をした若い男性がいました。
121 :夕紅 ◆e/DkDKVoCg @\(^o^)/:2015/03/12(木) 01:13:30.57 ID:1OAocZey0.net[7/8]
男性は、縹色の法衣を着ており、その姿で一目で私達は彼がエリカちゃんの従兄弟だとわかりました。
その姿に安心した私達がドアを開け、転がり出す様に外に飛び出すと、男性は
「あんまり到着するのが遅いから、心配になって迎えに来たんだよ。」
と、言いました。

この怖い話にコメントする

道連れ
関連ワード