洒落怖
赤ずくめの女

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あの女がいた。ドアの向こうに。
俺の部屋のドアはところどころすりガラスで半透明になってるんだけど、あいつの顔と長い黒髪と真っ赤な服がはっきり見えた。
ガラスの向こうからこっちを見てる。
全身の筋肉が硬直して一気に胸の鼓動が早くなった。
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ。
俺は枕元に置いてあった母ちゃんのお守りを握りしめて布団に身をくるめ、お守りを握りしめながら「母ちゃん助けて母ちゃん助けて…」と何度も祈った。

どれくらい時間が経っただろう。
数分だったかもしれないし、1時間くらいだったようにも感じた。
物音一つしない部屋の中、あいつがどこへ行ったのか、もしかしたらすぐそこに移動しているかもしれない、と気になって仕方がなかった俺はそっと布団の隙間からドアの方を見た。
994 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/05/14(木) 12:18:43.86 ID:Ok+H4h3M0.net[8/10]
あいつは居なくなっていた。
意を決して布団をガバっと外して辺り一面見回したが、あいつは居なかった。
「母ちゃんが守ってくれた」。そう思った。
手汗でぐしょぐしょになったお守りを握りしめ、母ちゃんありがとう、と呟いた。

次の日、俺は朝一で町はずれにある神社に向かった。
神社の奥から出てきたお坊さんに事情を説明して、除霊を頼むとお坊さんは快く引き受けてくれた。
除霊はメインの神社の奥にある小さな小屋みたいなとこで行われた。
お坊さんとその弟子的な男の人に挟まれて、お経を唱えて塩を振りかけられて終わり、みたいな。
30分くらい経って、「もう安心してください。霊は祓われました。」ってお坊さんに言われた。
なんだか予想外にあっさり除霊が終わったもんだから、不審に思って、「あの女は何だったんですか?」って聞いたら、
「あれはこの地で昔行われていた人柱の犠牲者たちの集合霊です」だって。
お坊さん曰く、俺が住んでいた地方では昔、平和を祈念する村の風習として10年に一度村の女を人柱として神に捧げていたんだそう。
あの女は人柱にされて殺された女たちの怨念が作りだした霊で、俺に憑いたのは本当に偶然だったという。
何て迷惑な霊だ、と思った。
同時に、そんな強い怨念を持った霊が、果たしてあんな簡単な除霊で成仏したのだろうか、と少し不安になった。
995 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/05/14(木) 12:24:21.57 ID:Ok+H4h3M0.net[9/10]
その帰り道、家に着くとそこにはパトカーが止まっていた。近所の人たちも心配そうに様子を見ている。
すぐに自分の家で何かあったことを察した。俺は急いで警察のもとへ駆け寄った。

「この家の者です!うちで何があったんですか!!」
「あー君この家の子?何で今まで気づかなかったのー。危ないとこだったよ?この家に女が1か月潜伏してたんだよ。」

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