洒落怖
赤ずくめの女

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それからその女は現れなくなった。
俺は母ちゃんが守ってくれたんだ!と思ってすごく嬉しかった。
変な話だけど、母親の愛情を思い出させてくれたことに対して、あの女に感謝する気持ちさえ生まれた。
991 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/05/14(木) 12:03:17.78 ID:Ok+H4h3M0.net[5/10]
それから3週間くらい過ぎたある日。
俺は高校でいつもと変わらず授業を受けていた。
数学のsincosなんちゃらとかいうやつ(名前分からん)が意味不明すぎて、窓側の席で心地よい太陽の光にうつろうつろしていた。
ふと外の景色に目を向けた瞬間だった。

あいつがいる。
正門脇で、あの真っ赤な恰好で。こっちを見てる。
一気に鳥肌が立った。「何で?何で?お守りは効かなかったの?」
とにかく女の存在を誰かと共有したくて、前に座ってた友達の肩をガンガン叩いて、「あそこに変な女がいる!」って窓の外を指差した。
「は?どこ?」って友達が言うから、「あそこ!正門のとこ!」って言いながらもう一度そこを見た。
女はいなかった。
「どうして?どうして?」俺はパニックで泣きそうだった。友達は何かブツブツ文句言ってたけど、全然耳に入ってこなかった。
992 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/05/14(木) 12:08:59.41 ID:Ok+H4h3M0.net[6/10]
その日の放課後、俺は隣のクラスの春香ちゃんという女の子のもとへ向かった。
春香ちゃんは、なんというか、よく言えば一風変わった、悪く言えば変人で、よく「あたし霊感強いんだ~」とか言って周りの女子をドン引きさせていた。
俺ももともと幽霊の存在なんて信じてなかったし、春香ちゃんとは幼馴染ってだけで特に仲良いとかじゃなかったけど、その時はもう藁にもすがる思いで、「春香ちゃんなら何か分かるかもしれない」って思ったんだ。
俺が凄い剣幕で現れたからか春香ちゃんも最初はびっくりしてたけど、俺の話を聞くにつれ次第に真剣な表情になっていった。
「それで、○○君はそいつに話しかけちゃったの?」
「うん…」
「今もそいつが見える?」
「いや、今は…でもさっき授業中に見たんだ。正門のとこからこっちを見てた。」
「そっか…」
それから10秒くらい沈黙が流れた。俺はとにかくそいつが何者なのか、何で俺に付きまとうのか知りたかった。
「あいつは何者なの?春香ちゃん何か感じる?」
「うーん…○○君に残ってるそいつの念、凄く強い。強い恨み。なんだろう、たぶんだけど、昔男の人に捨てられて自殺した女の霊だと思う。恨みが強すぎて、お母さんのお守りも全てを防ぎきれてないみたい。」
「何で俺に!?」
「似てるんだと思う。○○君が“持ってる”ものが。」
何を“持ってる”のかよく分からなかったけど、大体の事情は察した。
春香ちゃんは、自分には手が負えないから神社でお祓いをしてもらうといい、と言って帰って行った。
993 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/05/14(木) 12:15:54.42 ID:Ok+H4h3M0.net[7/10]
その日の夜、悶々としながらベッドに入った。
「あいつは俺に何を求めているんだろう」「俺は死ぬのだろうか」…。気付いたら眠りについていた。
その日の夜のこと。ふと目が覚めた俺は、スマホをいじって時間を確認した。
深夜の2時半。
まだまだ寝れるじゃん…と思い、もう一度眠りにつこうと身体の向きを左に変えた瞬間だった。

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