洒落怖
フィルム

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891 フィルム sage 2009/07/14(火) 04:44:01 ID:shhxDwx50
俺が小学三年生の頃の話し。実家から車で20分くらいの場所に、
廃品業者の不法投棄場になった空き地があった。
最初は業者の投棄場だったのだけど、いつの間にか一般人も便乗して
家電などを捨てに来るようになったらしい。
そこは峠の中腹にあり交通量もほぼゼロで、夜だとまず人目につくことはない。
ある日親父の同僚がそこでロレックスを拾ったらしく、俺は親父に連れられて
掘り出し物を探しにそこへ行くことになった。

ロレックスはなかったが俺は箱入りの真新しい革靴(親父のサイズにぴったり)を
拾った。親父はまだ新しくてキレイなカメラを見つけ、それを持ち帰った。
そのカメラにはフィルムが入ったままになっていて、親父は気味が悪いから
捨てると言っていたが、ロレックスの同僚がそのフィルムに興味を持ち、
現像させてくれと親父に頼んだ。その同僚は趣味で山岳写真を撮っているらしく、
自宅に暗室を持っていた。じゃあ勝手にどうぞということになり、同僚に
フィルムを預けた。

892 本当にあった怖い名無し sage 2009/07/14(火) 04:45:16 ID:shhxDwx50
数日後、同僚は封筒に入れた写真を持ってきた。これ相当ヤバイぞ、とやつれた顔で
言ったらしい・・・・・・・

当時小学生だった俺はここまでしか教えてもらえなかった。肝心要の写っていたものの
正体は、何度聞いても教えてくれなかった。写真も親父と同僚が神社か寺だかにネガごと
持っていったらしく、手がかりは何もない。

さて、時が流れて俺も成人式を迎え、最近になって就職もした。あの写真を一度たりとも
忘れたことがない、とまでは言わないけれど、やはりずっと気にはなっていた。
そこで俺はあの写真に何が写っていたか、親父に聞いてみることにした。
教えてもらえなかったら、その時はあの同僚に聞きに行くつもりだった。
ある晩、酒が入った親父のご機嫌を伺い、最近やっと仕事にも慣れてきたと言う話しをした。
親父は満足そうにそうか、と言った。俺は今だ、と思った。
「あんな、昔カメラ拾ったやんか?あのカメラのフィルムな、あれ結局何が写ってたん?」
俺ももう25歳、そろそろ教えてもらってもいいんじゃないかな、と付け加えた。
親父は、まだ覚えていやがったのか、という顔をして、ふーっと息を吐き、話し出した。

893 本当にあった怖い名無し sage 2009/07/14(火) 04:46:18 ID:shhxDwx50
「まぁ、肖像画とかやな。その人の生家や所縁の品とか・・・・あとは写真の写真とか」
「被写体は人ってことやな。『写真の写真』ってのはどういう意味?」
「古い写真をな、あのカメラで撮った写真。写真そのものを撮った写真ってこと」
「えぇっ、何やそれ気持ち悪いなあ」
「まぁな。どこで手に入れたのか、まぁレプリカか分からんけどな。何の目的か・・・」
「で、何が写った写真やったん?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
親父が話してくれるまで黙って待っていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
酒に酔っていても、親父はすごく言いにくそうな顔をしていた。
しかしまた、ふーっと息を吐き、親父はポツリと言った。

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