洒落怖
宝探し

この怖い話は約 2 分で読めます。

「どうしよう、亮ちゃ・・・」

言いかけた時、僕には頼れる相棒がいないのだと思いだした。
一人で何とかしなくては。
アイツの事は忘れて・・・
何度も蹴ったり、体当たりをしたり、叫んだりしてみた。
だけど、結局ドアは開かなかった。
何も考える事が出来ず、ただただ懺悔するより他なかった。

『ごめんなさい、ごめんなさい、亮ちゃん。
やっぱり戻ってきてよ。こんなペンダントなんてあげるから。
神様、どうかこの僕を許してください。
そして、亮ちゃんを戻してください。
良い子になります、ちゃんと勉強もします。
ペンダントも亮ちゃんにあげます。』

僕はドアに手をかけたまま、泣きながら崩れ堕ちた。

その時だった。
ドアにかけた手が滑り落ちるうちに、妙な窪みに触れたのだった。
目を凝らし、その窪みを眺めると、何処かで見た形にそっくりだった。
そう。
それは今僕が首にかけている、鷲のペンダントの形だった。
そうかっ!!ここにペンダントをはめ込めば良いんだ!!
神様が僕を許してくれたんだ。
ペンダントをここに置いて行けば、許してくれるんだ。
亮ちゃん・・・ペンダントはここに置いていくよ・・・
だから、亮ちゃんも許してね。

僕はペンダントをその窪みに押し当てた。
カチリと音がした。
鍵が外れたんだ。
今度こそ家に帰れるんだ。
勢い良く僕はドアを開けた。
そのドアの先、僕の目の前には・・・
ドアがあった。
愕然とした僕の目に飛び込んだのは、蛙の形をした窪みだった。

鷲と蛙。
二つが揃っていないと、外には出れないんだ。
でも、蛙のペンダントはもう手に入らない。
僕一人しかいないから。
ペンダントは二つで一つ。
友情の証だったんだ。
あの、鷲のペンダントを首にかけた少年は僕だった。
愚かにも、親友を裏切り、ここで息絶える事になった僕だったんだ。

僕は次にくる誰かが、無事に出られます様にと祈り、ドアから鷲のペンダントを取ると首にかけたんだ。

この怖い話にコメントする

宝探し