洒落怖
高生まれ

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307 本当にあった怖い名無し 2009/08/22(土) 01:58:05 ID:uR/NQQDM0
学生の頃、当時付き合っていた彼女の弟と首里で2DKのアパートを借り
て住んでいた時の話だ。

 彼とは住居費を節約できるとのことで何とはなしに一緒に住み始める。
お互いを干渉しない気楽な同居生活。実際、学生で昼と夜がひっくり
返ったような生活の僕は、仕事をして規則正しい生活の彼とは殆ど顔を
合わせることのない日々が続いた。

 異変が起きたのは住み始めて数ヶ月経った頃。
 その頃から彼は僕が夜遅くまで帰らず一人で寝ている時に限って、
何かに取り憑かれたように夜中に目を覚ますようになる。それほど神経質
な性格ではない彼、最初気にすることはなかったが頻繁に続くようになる
とさすがに気味悪さを覚え始めた。

308 2 sage 2009/08/22(土) 01:59:17 ID:uR/NQQDM0
 僕は何か心当たりはないか聞いてみた。
 しばらく考え込む彼・・”もしかしたら・・”と次のような事を言った。
 このアパートの入り口ドアは道路正面から裏手に回りこむように
ある。すぐ傍にこんもりとした雑木林があり、その中に小さな御願所
がポツンとあった。彼が言うには三週間ほど前の晩酔って帰った際、
そこに悪戯で小石を投げあてたらしい。
 多分その事が原因だろうと、さっそくその場所に向かって二人で手を
合わせ頭を下げた。
 
 その日を境に彼が夜中に起きることはなくなった。
 だが頭からそのことも消えかけたある日、やはり彼が一人でいる時
新たなる異変は起きた。
 シャワーを浴びている彼の胸に、墨で版を押したような丸い円が浮き
上がってきた。びっくりした彼はタオルで何度も擦るがどうしても
落とせない。みるみる彼の顔は青ざめていった。
 ちょうどその時彼の姉(僕の彼女)がアパートに尋ねてきた。彼女が
目にしたのは濡れたバスタオルで身体を巻いて半開きの風呂場のドアに
もたれかかっている弟の姿。胸の異変は消えかかっていたが何とか確認
できた。
 夜遅くに帰った僕は二人からその話を聞いた。
 翌日連絡を受けた彼の兄弟たちがアパートに集まり、話し合った結果
ユタに診て貰うことになった。

311 3 sage 2009/08/22(土) 02:04:57 ID:uR/NQQDM0
 「御願所の件は関係ないね」
 ユタは一通り状況を聞き、何点か確認した上でこう切り出し、 
 「大きな理由はそのアパートにある」と続けた。
 そして彼に向かって、
「あんたは自分では気づかないだろうが、高生まれ(霊感が強い)して
いるよ」
 何でも首里のその一帯は戦時中激戦地で、たくさんの人が亡くなった
所、今も浮かばれない霊がたくさんさ迷っている。アパートはその上に
建てられたもので、
「あんたみたいな高生まれの人がいたら、それらがみんな寄ってくるよ」
 そういえば同じアパートに住んでいても僕には何の異変も起きてない
なぁ。

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