この怖い話は約 3 分で読めます。
ちょっとバカにした様に言うと、亮はむきになって怒りだした。
「何言ってるんだよ!!怖いもんか!!行くぞ・・・」
大きな玄関前に行くと、ドアになにやら書かれている事に気付いた。
【二人ずつお入り下さい】
本当に二人で入らないと駄目なんだ。
実際こんな所があるなんて、ちょっと信じられない感じだった。
誰が、何のためにここを用意したのか判らないけれど、入ってはいけない所で無いのは判った。
「よしっ・・・行くぞ、たっくん」
「うん」
「ぎぃぃ」
きしむような嫌な音を立ててドアが開いた。
中は森の中以上にひんやりとしていて、寒気すら感じた。
なんとも言えない埃とカビの匂いが鼻をついた。
流石の僕もちょっと帰りたくなった。
「暗いね・・・ホントにお宝あるのかなぁ?」
「た、たっくん、怖いんじゃないのか?」
今度は僕がバカにされた様な気がした。
でも、本当は亮の方が怖がっているって事はわかっていた。
「大丈夫だよ、亮ちゃんと一緒だからね」
いつもの亮に戻ってくれないと、僕も不安になってくる。
僕は亮に頼ってる様に感じさせて、亮の気持ちを盛り上げた。
それはとても上手くいった様だった。
「そうだよね。二人一緒だもんね」
亮が力強く歩き出した。
館の中は本当に薄気味悪かった。
至る所に蜘蛛の巣が張っていて、それにかかる度に気持ち悪くて悲鳴をあげたくなった。
でも、悲鳴をあげてしまえば、二人とも挫けてしまいそうだと思い、精一杯我慢したんだ。
亮も多分同じだったと思う。
所々の壁に掛けてある絵も、何だかよくわからない絵で、紫や、赤や黒が混じったような、気持ちの悪い物だった。
僕等は出来るだけそれが目に入らないように前だけ向いて歩いた。
途中のドアを何度か開けたけど、何も見つからなかった。
ほとんどの部屋はがらんどうで、塵と蜘蛛の巣しかなかった。
そろそろ諦めようかとしていた時、その部屋に着いた。
これまでの部屋と違い、そこには色んな物が置いてあった。
本棚、机、ベッド。
壁には世界地図が掛かっていた。
「ねぇ、亮ちゃん。この部屋、何かあるかもよ」
興奮した口調で僕は言った。
「よしっ、お宝見つけよう!!手分けして探そうぜ」
亮は机、僕は本棚を探すことにした。
ホントはベッドの上に乗ってる物を調べろっていわれたけど、本棚の方が何かありそうだからと断った。
でも、ホントは違うんだ。
ベッドの上のものは何か恐ろしげで近付きたく無かったんだ。
二人とも黙々と調べたけど、大した物は見つからなかった。
本棚に一杯ある本も、なんだか判らない言葉で書いてあって、大人達は喜びそうだけど、僕等にとっては何の価値も無かった。
結局部屋中調べたけど、何も見つからなかった。
残すはベッドだけだった。
亮も嫌な雰囲気がしてるのは気付いてる様だった。
ベットの上にかかったピカピカ光った青のベルベット。
それは奇妙に盛り上がっていて、その下に何かあるのは判っていた。