洒落怖
佇む女

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案の定というか、次の日の朝も、女の人はそこにいた。
通り過ぎるのが怖くて仕方がなかったのだが、今は歩いている人が他にもいたし、
その人たちも女の人を無視しているようだ。
Uも同様に、「なにも見ていない」と言う感じで、黙ってそこを通り抜けたが、
今日の夜からは違う道を使うことを決意していた。

その川辺の道は、通勤や通学によく使われている道で、
Uの家から最短距離で駅まで行こうと思うと、通らなければならない。
が、夜十時過ぎになると人通りも途絶えるので、もし女の人がまたいたらと思うと、
とてもではないが通る勇気が湧かなかった。

404 3/14 sage New! 2008/10/30(木) 10:57:11 ID:tl4Q/2/Z0
そこで、やや遠回りして、別の道を使うことにした。
朝も、なるべくならその道を使わないことにしたが、寝坊などで通らざるを得ない時、
いつでもその女の人は定位置にいるのだった。

学校で、級友にそのことを話した。
通り道に変な女がおり、どうも薄気味が悪くて、道が使えない、と。
話を聞いていた周囲の級友は笑ったが、ふと、Wと言う女子生徒が、
「ねえ、その人、幽霊とかじゃない? おかしいよそれ」と言い出した。

Uはまさか、と思ったそうだが、周囲の級友たちがどっと盛り上がった。
ふざけ半分に、「マジ怖えー」等言っている。
Uは下らないこと、として真面目に聞かなかったが、授業中、ふと思い出した。

そう言えば、あの女の人は、いつも同じ場所で同じ姿勢をしているだけではなく、
服まで常に同じではなかっただろうか?
白いブラウスと、紺色のスカートに、帽子だ。
ありがちな服装のように思えて大して気にしていなかったが、
制服っぽくもなかったし、毎日同じ服を着ているのはおかしい。

思えば、通行人たちも、彼女を無視していると言うよりは、まるで
見えていないかのように振舞っていた。
通学路にあんな女が毎日立っていたら、誰かが警察に通報でもしそうなものなのに、
それもない。

気になりはじめると止まらず、余計に怖くなった。

しかも、級友たちが悪ノリをして、みんなでその女を見に行こうと言い出した。
Uはもちろん、やめてくれ、と断る。
が、「怖いのかよ、大丈夫だって、ヤバかったら逃げよーぜ」と煽られ、
まあそこは中学生の浅はかさで「怖くはないよ。わかったよ」と、応じてしまった。

405 4/14 sage New! 2008/10/30(木) 10:57:45 ID:tl4Q/2/Z0
Uは私立の進学校に通っていたため、彼の地元を案内できる人間が彼しかおらず、
またその日は彼が塾に行かなければならない日だ。
なので、みんなで行くのは、日曜にしようと言うことになった。

日曜の昼間、級友たちを駅まで迎えに行く時、Uは迷った末に、
あの道を通って行ってみよう、と決意した。
もしかしたら、あの女は今日はいないかもしれない。確認しようと思ったのだ。

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