この怖い話は約 3 分で読めます。
しばらく天井を眺めて居たが、どうにも暇だ。
『よし!』
気合いを入れ立ち上がる。
どうせ後2日在る。
こうなれば乗り掛かった船だ、とことん付き合ってやろう赤い仏像よ。
再び住職の軽トラに揺られ昨日と同じ道を行く。
『昨日と同じ道ですね』
330 本当にあった怖い名無し sage New! 2009/05/04(月) 01:43:20 ID:nuJ7Q8cXO
『昨日話したろ?山で飼ってる犬に餌をやりに来る婆さんが居るって』
あの婆さんらしい。
『そのお婆さん何者なんですか?』
『昔話が大好きな変わった婆さんだよ(笑)ちょっと痴呆入ってるがね』
家に着くと『話は通して有るから。今日は用事があってね。また後で迎えに来るよ』と行ってしまった。
334 本当にあった怖い名無し sage New! 2009/05/04(月) 02:02:37 ID:nuJ7Q8cXO
『すいませ~ん?どなたかいらっしゃいませんか~?』
『はーい、いま行きます』
割烹着姿のおばさんが出て来た。
『住職に紹介されて参りました』
『あ~はいはいおばぁちゃんに用が有るって人ね』
『はい』
『どうぞどうぞ狭い家だけど上がって上がって』
『おばぁちゃん?おばぁちゃ~ん?お客さんよ~』
おばさんに連れられ客間へと通された。
『はい、お茶』
『ありがとうございます』
『今おばぁちゃん呼んで来るから少し待っててちょうだいね』
『はい』
しばらくするとスーッと戸が開き、梅干しのようなしわくちゃのお婆さんが入って来た。
336 本当にあった怖い名無し sage New! 2009/05/04(月) 02:04:55 ID:nuJ7Q8cXO
『ひゃひゃひゃ…あんたかい若いの』
しわくちゃの顔をクシャクシャにして不気味に笑いかける。
『あ、はい今日はよろしくお願いします』
何か負ぶっている…赤ん坊…ではない赤ん坊の人形だ。
『この子はあたしの子だよ』
ニタリと笑った。
なるほど痴呆らしい。
『賢そうな子ですね(笑)』
俺のお世辞に気を良くした感じでほうじゃろうほうじゃろうとニタリと笑った。
『ほいであんた』
『はい』
『今日は紅仏様の話を訊きに来たんじゃろ?』
338 本当にあった怖い名無し sage New! 2009/05/04(月) 02:06:10 ID:nuJ7Q8cXO
『はい。知ってる限りで構わなのでお願いします』
『そうかいそうかい(笑)それじゃ、そうだね紅仏様が生まれた話をしようか』
お婆さんは静かに語り出した。
『昔昔の話だよ。この裏の山には集落が在ってね。100人いくかいかんかくらいの人々が寄り添って暮らしておった』
『人々は畑を耕し、猟をし、仲良う暮らしておった』
『じゃがある日余所者が来てな、集落の娘っ子を奉公に欲しいと豪商が言っとるとのことじゃった』
『元々閉鎖的な集落じゃったて、長と数名の老人とで話し合い外の世界を見てきて貰おうっちゅう話になった』
『別れの日、手を振る娘っ子を集落の人間総出で見送った』
『それからまたしばらく静かな日が過ぎて行った』