洒落怖
青い箱

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私が住んでいるのは山間にあるよくある住宅地で、
家からふもとに下りて、街へと続く国道の脇に、
住宅に挟まれてその神社はあった。私は10歳そこらのことである。

 子供なので、神社に対するしきたり云々の信仰には全くもって興味が無く、
当時の私達には程よい遊び場のようなものだった。
その神社は夏祭りや正月にはお守りを売る巫女姿の店員などがいるものだが、普段では神主は隣接の事務所にいるらしい。
その土地の記念碑なんかもあってプチ観光地的な役割でもあったが基本大人の目もないわけで、堂々と子供は占領できるわけである。
 
 とある日私は他の男女数人のグループに連れられ、その神社へと行った。
大人の目が無いとは言ったものの、当時の私はだいぶ真面目ちゃんの部類に入る子供で、
神社には祭りでもない限り踏み入ったことは無かった。
だが彼らもいつもからここを遊び場にしているわけではない。
つまり、いつもは公園を転々としているところ、気まぐれでここで遊ぶ事を提案した訳だ。

271 本当にあった怖い名無し New! 2011/04/06(水) 23:20:38.45 ID:C0RJjG3V0
 そこで私達が何をしたかというと、宝といっても、そこらへんに落ちている何かを黙々と収集するいわゆる宝探し。
神社なので賽銭のおこぼれの古い銭が当たりであろう。
その他は大人から見ればただの燃えないゴミであろう何かの部品やプラスチックの類、
そんな他愛も無い宝探しだが、子供にとっては燃えるゴミ以外は大抵、
校庭の小さな石だってガラスの破片だって宝石のように大事に見えるのだった。
 かくいう私も中休み昼休みになれば校庭の砂利を漁っては爪の垢ほどの色のついた石を集めているクチではあったが、
神社、そう人の敷地であればすこし違った。
他の子供達はともかく、どうも乗り気になれないのが真面目ちゃんで、
神社ともあろう場所からガラクタとはいえ物をもっていくのは泥棒ではないだろうか。
そんな疑心を抱きつつも、臆病者と思われるのもまた本位ではないのでしぶしぶと宝探しに参加していたのである。

 敷地の端、木の根の下、そして神社の床下へと手を伸ばしていく。
高床の下は滅多に掃除できるものではなく、つまり宝の山だと考えた。
しかし、思ったよりはあまり目ぼしい物は見当たらず、ただじめじめとした土が広がってるだけだった。
 大したものはないなと、そう思い身を引こうと思ったら、
視界に青い物体が目に入る。
サイズ的には小銭なんかとは比べ物にならない大物。
小汚いのも気にせずに手にとってみると、大きさは人形のベッドほどという印象、
中にクッションがつめられた青い箱のようなものである。
何に使うものかは検討もつかないが、何かいいもののような気がするのが子供の感性である。
 そして子供達の間でひととおりの発掘の成果をひろげて、山分けして解散した。
私の手には小銭も小石も無かったが、あの青い箱はしっかり持っていた。

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