洒落怖
夏の思い出

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今から20年ほど前の話しです。

当時の私には5歳下の彼女がいまして、少し離れた場所-遠距離とまでは
言えませんが、車で3時間ほど離れた場所に住んでおり、仕事の忙しさも
相まって会えるのは月に1~2度という感じでした。

私の住んでる土地は自然しか取り柄の無いような海辺の田舎町で、都会っ
子の彼女はそんな素朴な田舎町の山や海で遊ぶのが大好きな子でした。

そんな彼女と付き合い始めて初めての纏まった連休-お盆休みに起きた不
思議なお話しです。

「お盆休みどうしよっか?」
「うーん、ゆっくりと会えるんだしキャンプとかしたいなー」
「海でバーベキューとか?」
「うんうん!そういうの好き!」

73 夏の思い出 [2] sage 2011/12/17(土) 21:19:41.38 ID:DzskEHgt0
さて、彼女には姉と歳の離れた小学生の弟が居まして、付き合ってすぐ
に紹介されており、どうせなら姉と弟、姉の彼氏も一緒に誘ってはどう
か?という私の提案に彼女も賛成してくれまして、5人でキャンプをす
る事となりました。

「何処にしよっか?少し遠出して○○海岸でも行く?」
「うーん・・混んでるとこは嫌だしなぁ・・そうだ!○○君の家の近く
 の海にしない?」
「ええ・・あんな辺鄙なとこでいいの?」
「うん!近くにコンビニもあるし、銭湯もあったよね?ばっちりじゃん!
 雨になったら〇〇君ちに行けばいいし!」

海と言っても海水浴場ではなく、釣り客がたまに来る程度でしたが、昔
は観光客を呼びこもうとしたのか、海の家のような廃屋が幾つかある海
岸に決まりました。

74 夏の思い出 [3] sage 2011/12/17(土) 21:20:07.77 ID:DzskEHgt0
その後、仕事に追われ幾日か過ぎてやっと迎えたお盆休み初日の朝、彼
女の兄弟と姉の彼氏を迎えに彼女の町まで車を走らせました。

「晴れて良かったね!」
「僕、キャンプ楽しみにしてたんだ!おにーちゃんありがとう!」

車中ではしゃぐ兄弟達と、仕事疲れなのか、そうでもない暗めな表情の
姉彼と・・そんな楽しい時間も過ぎ、目的地の海に到着しました。

「わーーー海だーーー」
「きゃーーーーーつめたいーーーー」
「おおーーー」

はしゃぐ兄弟たちを眺めながら、男性陣はテントを建てたり釜戸を作っ
たりと、準備に勤しむ楽しい時間が過ぎていきました。他にはそれらし
い人は居らず、時折漁師の車が通るくらいで本当に静かな海辺でした。

75 夏の思い出 [4] sage 2011/12/17(土) 21:20:25.44 ID:DzskEHgt0
やがて時間は過ぎ、夕食のバーベーキューは陽が落ち始めた頃となりま
した。当時はまだ市販のバーベキューセットなどもあまり無く、砂浜に
石を積み上げたお手製の釜戸で、なかなか火が起きずアタフタしてる男
性陣に割り箸を持ちながら「はやくーーー」という兄弟たち。

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夏の思い出