洒落怖
夏の思い出

この怖い話は約 3 分で読めます。

昨夜、あの顔が見えた窓際に立ち、中を見ました。

-これは・・・どういう事だ・・-

そこには部屋中にびっしりと詰め込まれた廃材や網、とにかく天井
まで届くくらいのゴミがいっぱいで、とても人間が入れるスペース
など全く無かったのです。

そう大きくも無い建物の周囲を確認しましたが、中へ入れるであろ
う戸には固く留め木が打ち付けてありました。

-まぁ・・これでも旅の思い出か・・彼女らには内緒にしておこう-

テントへ戻り、大雨でバーベキューや花火の後片付けをしていると
皆が起きだし、おはよ~とボーっとした声で折りたたみの椅子に座
り「朝ごは~~ん~~」と催促。

79 夏の思い出 [8] sage 2011/12/17(土) 21:21:56.48 ID:DzskEHgt0
その後、海で遊んだり釣をしたりと昼過ぎまで遊び、姉と姉彼、弟
を家まで送り届ける帰路につきました。

その車中は楽しかったキャンプの話しで盛り上がりました。

「来年も行きたいね!」
「来年まで俺ら付き合っていれば・・ね」
「ひどーい」
「あはははは!」

「そういえば、久しぶりにお爺ちゃんの顔見たね」

-ん?-

「うんうん、あっち行っても楽しそうにやってるみたいだったね」

-何の話ししてるんだ?-

「しっかしさぁ、孫の彼氏を見に来なくてもいいじゃん」
「だよねー」

「ちょ・・・お前ら何の話ししてるんだ・・?」
「あれ、〇〇君には見えなかった?あの海さ、霊場なんだよ」
「え?え?」
「お盆で生前の家に帰る前に、集まってたみたい」
「え?え?」
「私達が居るから○○君にも視えたはずだけど・・・」

80 夏の思い出 [9] sage 2011/12/17(土) 21:22:33.95 ID:DzskEHgt0
訳も判らず、兄弟たちが話す会話にただただ驚愕してる私の肩を
ちょんちょんと叩く姉彼。

「この兄弟ね・・なんかの末裔で視えるらしいのよ」
「えっと・・え?」
「大昔、霊を祓ったりする部族が居て、その末裔らしい。だから
 嫌だったんだ・・こいつらとキャンプなんて・・・」

姉彼はこれまでも同じような場面に遭遇したようで、姉が希望す
る旅先は、どこそこの霊山だの廃墟だのといったものばかりで、
たまに普通の温泉地などを希望したときも、その温泉地自体が火
山の噴火で大勢が亡くなっており、霊がうろうろしるなどと聞か
されたり怖い思いをしてきたらしいです。

恐恐と後ろの席に居る彼女をルームミラーで見ると、「また来よ
うね!」と何時もの可愛い笑顔・・・か?

姉と姉彼、弟を送った後、俺と彼女は残りのお盆休みを消化すべ
く、とある田舎町にある温泉街へ向かうのでした。

————

このお話しはこれで終わりです。

その後3年ほど彼女とお付き合いし、怖い思いも何度かしました
が、別れた原因は至って普通の理由でした。

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夏の思い出