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間違いない、あの少女が撃ったのだ。
790 本当にあった怖い名無し sage New! 2012/02/22(水) 03:55:44.10 ID:U8CDXpqm0
「クソッ!!取り逃がしたか!」
悔しさが顔に滲み出る。現場を目撃した私は物陰に隠れることが精一杯で何も出来なかった。
拳銃であればリロード中に追いかけることも考えられたが、サブマシンガンでは手のつけようがない。
だが、少女の顔はしっかり覚えた。警察に行こう。私は犯人を目撃した重要な証人となったのだ。
取り調べを受けた私は警察官に迫った。
「で、捜査状況はどうなってるんです?いつまで事態を放っておく気ですか!」
警官は少々困った顔をしながら近々行われる作戦概要をこっそり教えてくれた。
それは少女が通う学校に待ち伏せし銃を所持する子供たちを一斉検挙するというものだ。
「そういうわけだから、後は我々に任せて、当日は大人しく自宅謹慎しておいてくれよ」
「はい、わかりました」
791 ◆G10zQMdncg sage New! 2012/02/22(水) 03:57:31.90 ID:U8CDXpqm0
しかし、私は返事とは裏腹に心の中でこの作戦に疑問を抱いていた。
そもそもこの作戦、相手の人数によっては現場が混乱し犯人を取り逃がす可能性が非常に高い。
銃を携帯しながら四方八方に逃亡を図る少年少女たちを全員現行犯で逮捕できるとは到底思えない。
それに、あの少女…私の目の前で発砲したあの少女だけはしっかり逮捕して貰わなければ気が済まない。
少女の顔を知っているのは私しかいない。それならば私が現場に行くことであるいは逮捕に協力できることも…
そう考えた私は当日、密かに警察の取締り現場を視察することにした。
792 ◆G10zQMdncg sage New! 2012/02/22(水) 03:59:25.67 ID:U8CDXpqm0
── その日、警察の陣形のわずか後方に身を隠した私は作戦が決行される瞬間を待った。
「検挙!」
掛け声とともに一斉検挙がはじまった。怯える中学生たちを白い煙幕が包み込む。
「スモークグレネード!?ちくしょう…厄介だな」
果敢にも煙幕の中に飛び込む警官たち。他方、混乱をくぐり抜け逃亡に成功する子供たち。
言わんこっちゃない。…と、そこに例の少女が自転車に乗って全速力で出てきた。
銃を携帯している。間違いない。だが混乱する現場で警察は少女の存在に気づいていない。
ここで少女を逃したら終いだ。私は咄嗟に路上に転がっていた銃を手に取り、自転車に飛び乗った。
少女を確保するならいざという時の護身用として必要と判断しての行動だ。
自転車に乗り少女を追跡する俺。必死に逃げる少女。
「止まれぇぇぇ!! 止まらないと撃つぞ!!」
793 ◆G10zQMdncg sage New! 2012/02/22(水) 04:01:20.74 ID:U8CDXpqm0
大声で少女に説得を試みるも全く聞く耳を持たない。かなり長い間並走が続いた。
だが、説得も虚しく逃亡する少女のサブマシンガンの銃口が私に向けられる。
このまま黙って撃たれてしまうしかないのか。いや…それならいっそのこと。