洒落怖
ゴリゴリ

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「○子(お袋の名前)!そっちの戸をしっかり閉めなさい!」
必死に戸を押さえつけるお袋のすぐ向こうを、ゴリゴリが通り過ぎる。
その先には北向きの窓があった。

「お母さん!怖いよ!」
「●子!北向きの窓を閉めなさい!」
伯母さんは泣きながら北向きの窓を抑え込んだ。間一髪、その向こうをゴリゴリが
通り過ぎた。

ゴリゴリは、とうとう家の周りを一周して、北の窓から再び、東向きの最初の
障子窓にやって来ようとしている。
だが、三方を三人で守っているため、窓を守れる人はもういない。
部屋の真ん中では、小母さんの喘ぎがひどくなってきた。
障子紙も破れてる。
その向こうに、血のように紅い、大きい満月がこちらを向いていた。
表面のあばたが、意地悪そうに笑っているように見えたという。

「お母さん!」
「それを見るんじゃない!」

598 本当にあった怖い名無し sage New! 2009/11/02(月) 11:47:23 ID:8hjPNL+l0
それぞれに南・西・北を守っていた三人は、しかし東向きの障子窓から目を
そらすことができなかった。

障子紙が破れたその格子の向こうに、金棒を振り上げた影がこちらを見ていた。
赤い鬼だった。
3人はそのまま気絶した。

朝、目を覚ますと、3人は真ん中に小母さんを置いたまま、3方向の窓や戸を
掴んだまま倒れていたという。
おじいちゃんが朝方に帰ってきたとき、自分の家の壁に横向きに何かを擦った
ような深い傷がついていて、びっくりしたそうだ。
それ以降、おじいちゃんはなるべく早めに仕事を切り上げて帰ってくるようになった。

幸いなことに、小母さんの風邪は、そのまま次第に完治したそうだ。

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