洒落怖
美人画

この怖い話は約 3 分で読めます。

VIPのほうにあった古物商の話は割と怖かったんだがコピペしていい?
これなんだが。

387 名前:古物商 投稿日:01/10/02 13:04
初めまして。私は都内で古美術を扱い、口を糊している者です。
さて、この仕事をしていますと色々な不可解な事象に出くわしますが、
今回は御挨拶も兼ね、今迄で一番強烈だった話をしたいと思います。

3年前のことです。私は稲城市のとある大きな農家から土蔵の整理を
召し使いました。なんでも息子さんが事業を始めるのにまとまった
入り用が欲しいとの事です。私は早速その立派な倉の中を相棒と物色
し始めました。めぼしい物を査定していると突然、相棒が「ほう」と
呟きました。何か面白い物でも見つかったのかと思い、相棒の元に
行ってみると相棒は一枚の絵画に見入ってます。

「狩野派だな?」「ああ間違いない」「誰だ?」
相棒はそれが入っていた箱の裏書きをみていましたが、何も書いてありません。
「無名か?」「いや暗くてわからん。でも調子から視て江戸中期だろう。
明和か安永か」「いずれにしても明るい所で落款、花押(署名)を調べないと」
私達は表に出て、改めてその絵を見つめ直しました。
絵は目が覚めるような美人画。流石は狩野派、線は堅くとも色使いは鮮やかです。
しかしどこを視ても、透かしても署名の類いはありません。
「無名だが、これは大した物だぞ!」「早く帰って調べてみよう!」
私達は相応のものを倉主に支払い、他の二足三文のがらくたと一緒にその絵を
持ち帰りました。その後その絵がもたらす不幸など考えもせずに…。

310 名前: 本当にあった怖い名無し 2006/08/03(木) 13:29:19 ID:huijBN2t0
一応まとめをチェックしたし誰も居なさそうなのでコピペ投下開始~。

391 名前:古物商 投稿日:01/10/02 17:34
390さん。御丁寧に有り難うございます。
このくらいの短さでよろしいでしょうか?
ただ一気に書き込める程短い話じゃありませんので、
徐々に書き込んでいきたいと思います。
まあへたくそな連載小説とでも思って読んでいただければ幸いです。

さて、稲城からの帰途、車の中で私達はあれこれ絵のことについて
話し合いました。狩野派は江戸画壇界でも保守派で知られています。
作品の対象は殆どの場合、風景や動物、静物等です。
しかし、江戸の文化の本流が侍から町人に移るにつれ、絵の対象も
役者絵や美人画、応挙にみる幽霊画などに変わっていきます。
浮世絵文化の台頭です。しかし、狩野派はそれを由としませんでした。
そんな格式ばった狩野派を嫌い、狩野派を密かに抜け野に下った才能ある
若い絵師が当時沢山いました。これで絵が無名なのも理由が分かります。
「もしかして英山かもしれないぞ!」「まさか!!」
そんなことを話ながらふと、車の外に目をやると普段と全然違う光景が
目に飛び込んできました。(ここは? …下町だ!)私達は何故か
深川の辺りを走行していました。私は驚いて相棒に聞きました。
「お前…外苑で高速降りたよな?」「ああ…なんでこんな所いるんだ?」
相棒も首をかしげるばかりです。外苑で高速を降りたのは記憶にある。
ほんの五分くらい前の事です。で、何故深川にいるのか?
私達は狐に摘まれたような思いで、車を店のある港区某所に向けました。

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