洒落怖
天女さん

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『体育館の天女さん。体育館の天女さん。
ビビりさんがお呼びです
いらっしゃいましたら至急図書館内においで下さい』
名前も知らない意中の人を呼び出したいんだって放送部に頼み込んで学内放送してもらった。
図書館なら人が多いし、バレるような事しなけりゃ、来やすいかなって。

来た!来たー!!
三十分位粘って、それで駄目ならもう諦めようと決めてた時。
図書館の中にあの娘が入ってきて、きょろきょろと辺りを見渡してた。
俺は目配せだけおくってすぐに図書館を出た。気付いたみたいでついてきた。
ゴミ臭くない遠回りな方を通って体育館裏に。

982 本当にあった怖い名無し sage 2012/05/30(水) 21:16:27.22 ID:HhN52zwF0
「友達になってください!」
「別にいいけど、天女さんって何」
「え?ほんとに? よっしゃああ! いや、あれなら気付くかなとね」
「一つ条件。下心透けて見えるような気がするんだけど。もしそうなら友達もダメ」
「いや、ほんとに友達でいいんだ。
全然会えない地獄よりは、友達として会える方が天国だ」
「…大袈裟…でもないね」
喜びが顔に出てる自覚はあった。
それから、時折待ち合わせてカフェテラスで会ったりするようになった。
別学部の後輩だったみたいでそれ以外では全然。

「撮影、どう?」
「シーン数の半分も終わってないよ。
 来年のあっちの学生祭で公開のスケジュールだからね」
「もう、練習はやらないの?」
「あんなにビビってたのに現金」
「やな所見られちゃってるよなあ」
「こっちこそ。最初はもうほんと凄いびっくり。
こっちがきゃーって叫ぶつもりが、なんか怯えに怯えて走り去るんだもん。
もう怒りなんてそっちのけでおっかしくて声に出して笑いそうになったよ」
「そういえば、人呼んできた時はどうしてたの」
「皆連れていってくれたから。堂々と扉から出ていったよ」
「道理でいないわけだ」

幽霊だとかトンチンカンなこと言ってたことの舞台裏はこんなかんじ
俺は結局証拠写真もだせないままビビリー○○ってかんじのあだ名がついた。

983 本当にあった怖い名無し sage 2012/05/30(水) 21:17:54.89 ID:HhN52zwF0
天女さんとの付き合いは翌年にまで長続きした。
取り立てて、これといった距離の縮まりとかはなし。
俺は就活に失敗してたから。
少しでも多く単位をとって、来年の就活に備えたいと親を説得して五年生。
たまに天女さんの友達(女)の飲み会とかに誘われて行くような仲。
前期が終わって部活のためにキャンパスに通う生活になってた頃。
天女さんから電話があった。
ベッドシーンの撮影日が近づいてきたから、そろそろちゃんと見られる練習したいと。
マジ…マジ見ていいの?ほんとに?もうドキドキしてたなあ。
「ビビりさん、信用できるしね」
酔わせようともせず、酔っていても変な事をせず。
家に送っても上がりこむようなこともせず。
友達としてつきあってる間に信用されてたらしい。

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