洒落怖
バス停の女

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こんな事が二ヶ月ほど続いた。

846 名前: バス停の女 2006/08/29(火) 00:38:29 ID:/EvGcUW20

本来ならここまで続けば付き合う話になりそうな物なのだが、孝史はいまいち踏み込めない部分があった。
美奈の陰の部分、どこか深入りするのが怖いような…。
具体的には、会うたびに何か孝史の持ち物を欲しがる。使っている100円ライターだったり、有料道路の通行券だったり、もう使っていないインクの切れたボールペンだったり…。
価値があるとか無いとかではなく、孝史の物ってだけで満足そうなのだ。
それに、孝史は今まで一度も避妊していない。美奈はおとなしく従順なのだが、避妊だけはかたくなに拒む。
孝史は何か裏があるのでは、と恐ろしくさえ思うようになっていた。
そんな事情もあって、孝史はまだフルネームも住所も連絡先も教えていなかった。
車のナンバーから調べれば、分かると言えば分かるがそればかりはどうしようもない。

そう思ってる矢先、長期出張の話があがり三ヶ月ほど県外に出る事になった。出発は次の木曜日。
美奈に伝える方法も無いし、この際縁を切ろうと思っていた。
ばたばたと出張の準備をする中、携帯が鳴った。一つ上の会社の男の先輩からだ。
「なぁ、誰か女紹介してくれよ」単刀直入に言うとそんな内容だ。
強引でわがままな先輩の頼みに困っている時、美奈の事を思い出した。
自分が出張中に車を貸すから、この時間帯にここを通るといいですよ、と。

そして、孝史は木曜日に予定通り出張に出かけた。

847 名前: バス停の女 2006/08/29(火) 00:39:07 ID:/EvGcUW20
ここからは先輩の話。
言われたとおり、例のバス停に向かった。その日は雨だったのだが、傘もささずに女の子が座っていたらしい。
欲求不満の先輩は、女の子に声をかけた。簡単に乗り込んでくる彼女。
先輩は彼女がおとなしく無口な事をいい事に、すぐにラブホに連れ込んだ。たっぷりと楽しんだ後、帰りの車の中で彼女がこの車の持ち主について執拗に知りたがる事をうっとおしく思いだした。
もちろん、持ち主について語るという事は、自分の身元もばれる事に繋がる。
先輩は、避妊しなかった事で一夜限りで逃げたかったのだ。適当にごまかしたり、嘘を教えたりしながら帰路についていた。
途中、煙草を買うためにコンビニに寄る事になった。彼女は助手席に乗ったまま。
ところが、煙草を買って戻ってくると彼女がいない。例のバス停まで近かった事もあり、歩いて帰れる距離だったんだろう。
と、楽観的に考えた。
なにせ、先輩にとっては面倒はごめんだったから、都合良かった。
話はそれで終わり。

車は、孝史の駐車場に停め、先輩もその後短期の出張があったり、元カノとよりを戻したりで孝史の車を借りてナンパする事もしなかった。

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