洒落怖
同化

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ちょっと長いんだが聞いてくれるか。
てか勝手に書くわけだが・・・

2週間くらい前?だったか、瞬間的豪雨?ゲリラ豪雨?何か唐突にやばい雨降るやつがあったんだが、
その日学校は期末考査で午前中だけだったから、俺午後には家にいて、勉強もせずに漫画読んで充実してたのよ。

んでしばらくして勉強でもすっかなー、って思ってたらたら窓からバリバリバリって音すんの。
おったまげて飛び起きたら例の雨だった。

いつもの俺ならめんどくせーな、って外に出ようなんて馬鹿なことは思いつかなかった
が、その時の俺はなぜか意気揚々として傘をひっつかんで外に出ていた。
なんかな、近所の池が決壊するところを無性に見たくなったんだよ。
そいで外に出た瞬間には激しい雨で既にびしょ濡れで、普通もういいや、行かねーってなるはずなのに
俺全然さっそうと歩いてんの。
自分でもあれ?って思ったのは覚えてる。 で、三m先も白く霞んで見えない状況なのにさらっと池についたのよ。俺すげーって正直思ったw

557 本当にあった怖い名無し 2013/07/04(木) 20:50:28.47 ID:JmbcyXhf0

その池はそんなでかくねんだ。
形はひょうたん型でちょっとくびれてて、そのくびれに橋がかかってんだ。
それで橋で二分された池のでかい方にはしだれ桜が一本だけ生えてる島があって、春には艶かしい感じで咲くの。
雰囲気あるんだ。

まあ今夏だから桜の黒っぽい葉が茂ってて、何かワカメっぽかった。
池のふちにもソメイヨシノが植えられるんだが、それもワカメっぽかった。
話戻すけど、池が決壊してないのを見てがっかりした俺は、橋の真ん中に立ってそのしだれ桜をなんとなしに見てたんだよ。
視界が雨でぼんやりしすぎてあまり見えなかったが。

ほんとぼーっとしてたら雨が唐突に少しだけ軽くなったんだ。
それと同時に少しだけクリアになった視界に女の人が写ったんだ。

こんな土砂降りの雨の中、もの好きもいるもんだな、なんて自分を棚に上げてハッとした。
その女の人は、薄ピンク色の着物を着ていた。そして角ばったフォルムの傘はきっと番傘。

雨で白く霞んで細部は見えないけど、顔の白さがこっちを向いていることを示していた。

559 本当にあった怖い名無し 2013/07/04(木) 20:54:42.64 ID:JmbcyXhf0
別に怖くないんだ。
表情も見えないし、感情もまったく読み取れないから。
たんなる通りすがりの人って感じで、興味も沸かなかった。
だからしだれ桜を見ていたときのようにぼーっと見てた。
感覚が麻痺ったみたいにぼんやりしてた。
ただ、黒々としたしだれ桜の上に止まっていた鳥たちの視線は痛いほどに感じていた。

そして雨が弱まるまで見つめてたんだが、あと少しで顔が見える、というところで、その人は去っていった。

ただただ奇妙で、小説みたいで、俺は感動した。

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