田舎・地方の習慣
昔田舎で起こったこと

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B「くせー、なんだこりゃーw」

A「カビくせーなーw」

すっかり怯えきってるCと顔を見合わせたけど、
俺は恐怖より好奇心が勝っていたので、AB兄弟のあとに続いて家に入った。
それを見たCが鼻声で「待ってよ!」と言いながらドタドタと家に入る。

勝手口を入るとそこは台所になっていた。
土間を改築したのか、台所部分は土の床が広がっている。
とにかくかび臭く、歩くたびに土っぽい誇りがぶわっと舞うようだった。
台所には何も無く、奥に入ると畳の部屋があった。
台所と畳部屋の境目あたりの畳は特に損傷が酷く、
黒っぽく変色しグチャグチャに腐っていた。
その上にある鴨居は何かでガリガリ削ったような跡がついていた。
部屋には壁に立てかけられた大きな鏡があり、
鏡と反対の壁には昭和40年代のカレンダーがぶら下がっていて、
当時ですら20年近くも誰も住んでいなかったようだ。
カレンダーの下には幅1m、高さ50cm、奥行き50cmぐらいの木製の重厚な葛篭のようなものがあり、
蓋の部分には黄色く変色した和紙の封筒のようなものが貼り付けてあった。

C「もう帰ろうよ、怖いよ…」

B「弱虫だなぁCはw」

A「折角ここまで来たんだから、なっ!」

ABは笑いながら葛篭を開けようとしていたが、しっかりと閉じられていてビクともしないようだった。
数分葛篭と格闘したABだったが一向に開く気配が無いので一旦諦め、室内の散策を続行することにした。
葛篭の部屋からは細くて暗い廊下が伸びており、汲み取り式の和式便所と狭苦しい風呂が並んでいて、
特に風呂はグレーがかった黒い液体が固まったようなものがあって汚かった。

そして便所と風呂から廊下を挟んで反対側に、もう一部屋和室があった。
和室には全身を写せる鏡と、その鏡の反対側の壁に小さな木箱が置かれていて、
木箱にはさっきの葛篭と同じく和紙の封筒のようなものが貼り付けてあった。

A「うわ、まただよ。なんなんだ?これ」

B「中身、見てみようぜ」

Bはまず木箱が開くのか試してみたが、開かなかった。
そしてビリッと和紙の封筒を剥がして、中に入っている紙を取り出した。

B「なんて書いてあるんだ?これ」

A「達筆過ぎて読めないな…」

そこにはミミズが這ったような文字が黒々と一行だけ書いてあり、
左下には何かをこすったような赤黒いシミが付いていた。

B「あっちの紙も同じようなもんなのかな?」

AとBがドタドタと先ほどの葛篭の場所へ移動する後ろを、俺とCもついて行った。

A「ちょっと違うけど、似たようなもんだな。」

葛篭の文字も書いてある文字こそ違いそうだが、
一行だけ書かれた文字の左下に赤黒いシミが付いている。
首をかしげながらさらに家を調べる為廊下を歩き、
小箱の部屋を通り過ぎるとすぐ玄関に辿り着いた。

C「わっ!」

B「なんだよ?」

C「あそこに!人が!」

Cは顔を伏せて震えていた。
見てみると、鏡越しに人のような姿が見える。
恐る恐る玄関に行ってみると、玄関横の壁にも全身を映せる大きな鏡があり、
その正面にガラスの箱に入った日本人形が飾られていた。
廊下からは壁の裏なので人形は死角になっていたのだ。

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