田舎・地方の習慣
昔田舎で起こったこと

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肝試しの翌日、昨日の肝試しはたいしたこと無かったなと、皆で強がりながら話しているとき、
Bがニヤニヤしながら話はじめた。

B「峠の方に行った墓の先、鎖がしてある道あるじゃん?あの先にすっげぇ不気味な家があるらしいよ!」

A「家?鎖の奥に行ったことあるけどそんなの無かったぞ」

C「えぇ?A君行ったことあるの!?あの鎖の先は絶対行っちゃいけないって…」

A「おう、内緒だぞw」

どうやら本当に行ってはいけない場所というのは、鎖のある道小道だったようだ。

A「あの道の先って、川にぶつかって行き止まりだぞ。」

B「それがな、昔はあの先に橋があったらしいんだよ。でも俺たちが生まれた頃に洪水で流されたんだって。」

B「で、あの道とは別に、川の手前から斜めに入ってく旧道があるらしいんだよ。そこに古い橋がまだ残ってるって話だぜ。」

B「旧道は藪だらけだし、周りは林だからあの道から橋も見えないけどな。」

A「誰に聞いたんだ…?」

B「□□(別地域)の奴に。いわくつきの家らしいよ。」

A「面白そうだな。」

B「だろ?今から行ってみようぜ!」

AB兄弟はノリノリだったが、年少者で臆病なCは尻込みしていた。

B「Cはビビリだなwお前夜小便行けなくて寝小便が直らないらしいなw」

C「そんなことないよ!」

B「やーいビビリwおい、Cはビビリだから置いてこうぜw」

C「俺も行くよ!」

俺たち4人はわいわい騒ぎながら県道を峠方向に歩いていった。

集落から歩いて10分。
製材所や牛舎を抜けると、山側に大きな墓地がある。
そこからさらに5分程歩くと、Bが言う「鎖の道」が右手にあった。
車に乗ってたらまず気付かないであろう、幅2m程藪が薄くなっているところを覗くと、
5m先に小さな鉄柱が2本あり、ダランとした鎖が道を塞いでいる。
鎖を跨ぎ、轍が消えかけ苔と雑草だらけの砂利道を少し歩くと、
道は徐々に右へとカーブしていく。
鬱蒼とした木々に囲まれて薄暗いカーブを曲がっていくと、
緑のトンネルの先からひときわ明るい光がさしこんでいた。
そこで川にぶつかり、道は途切れた。
今居る道の対岸にも、森の中にポツンと緑のトンネルのような道が見える。
対岸まではせいぜい10~15mぐらい。川幅ギリギリまで木々が生えてるため左右の見通しは利かない。
足元には橋台の跡と思われるコンクリートの塊があった。

A「やっぱ行き止まりじゃねーか」
B「まぁ待ってよ。ほら、コレ橋の跡でしょ?あっち(対岸)にも道があるし。」
A「ほんとだ」
B「戻ろうぜ。旧道の目印も聞いてあるからさ。」

そこから引き返してカーブを曲がっていくと、カーブの付け根あたりでBが道の脇を指差した。

B「ほらこの石。これが旧道の分岐だ」

人の頭ぐらいの大きさの、平べったい石が2つ並んで落ちていた。
ひとつは中心がすこし窪んでいて、B曰く昔はここに地蔵があったんだとか。

県道方面から見てカーブの入り口を左側、濃い藪が広がってるなかで
確かに藪が薄い一本のラインが見える。
藪の中は緩い土がヌタヌタと不快な感触だが、
このライン上は心なしか踏み固められているように思えた。
藪を掻き分け、笹で手を切りながら進んでいくと、川に出た。

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