この怖い話は約 3 分で読めます。
これは何年か前の今頃の季節の話。俺の実体験に基づいた話です。
ほんと大した話じゃないですが、個人的には洒落になってなかった話です。
ある日俺は、地元の友人と夜遅くまで遊んでいた。
飯を食べたあと、そのまま「S塚」という京都の山まで行くことになった。
S塚というのは京都ではそこそこ有名な夜景スポットで、
今度皆でそこに遊びに行く予定があるので、その下見に行ったのである。
時刻は日付変更前後。
暗い国道を道なりに車を走らせS塚へ向かう。
入り込んだ山道へ入り、途中にある火葬場は煙をあげることなく静かに眠っていた。
その時の俺らは恐怖心などカケラもなく、意気揚々と夜景スポットを目指したのだった。 61 (2/5) sage New! 2013/11/04(月) 23:11:06.84 ID:BT1miYvr0
車を走らせること30分。
目的のS塚まで辿り着いた。
場所は意外と人で賑わっており、いくつも車が停めてあった。
京都の夜景を一望できるその場所には、恋人同士や家族連れなど、
集まってきた多くの人たちがその眺望に恍惚の笑みを浮かべていた。
「流石は夜景スポットやな…」
俺らはそんなことを口々に言いながら、夜景を堪能してから帰ろうと思った。
その時俺はあることを思い出した。
S塚は、地図的な距離では某神社と極めて近い場所にあるはず。
標高差はあるにしても、S塚から神社まで充分歩いていける距離なのである。
恐らく10分もかかるまい…。
断っておくが、その神社は決していわくつきのものではなく、
お祭りシーズンでは一際賑わう、親しみやすくも荘厳な神社なのだ。
ちょっとした山道を歩く事になるだろうが、このドライブは下見も兼ねているので、
神社まで友人と歩いて降りる事になったのだ。
62 (3/5) sage New! 2013/11/04(月) 23:16:35.73 ID:BT1miYvr0
夜景が見える場所から少し離れた明かりの無い場所、その向こうに神社へと通じる道がある。
この時も恐怖心など微塵もなく、心持ちはひどく穏やかだった。
常闇の中へ足を進めていく。
夜は一層暗がりを深め、視界に映るのはかろうじて見える道の概形だけだ。
携帯のライトを片手に道を進んでいく。
目が順応して慣れてくると、少しずつ道の輪郭が見え始めた。
深い茂みだけでなく、近くには小さな家があるようだ。
見るからにもう廃屋となっており、人など住んでなさそうだが…。
そんな事を考えながら二人で進んでいると、大きな道は途中で終わっており、
そこから先は砂利道で先細り、他には細い山道が派生しているだけだった。
茂みを掻き分けて細い山道に入るのは躊躇われたため、
一応大きな道の延長と見て取れる、砂利道を進んで行く事にした。
廃屋を横目に見ながら。
そして。
「 ち ょ っ と 待 て 」