洒落怖
報い

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だってそうでしょう?

あの男はあんなに私を大切にしてくれた祖父の死を、真実の死因を明らかにするという最期の尊厳を踏みにじったのですから。
何故私があんな男を助けなければいけないのでしょうか。
アスファルトの地面の上に徐々に大きく広がっていく伯父の血だまりを見ながら私はそう冷静に考えていました。
その時です。ギシ、ギシ、と何かが軋む様な音が聞こえて来ました。
(何だろう・・・・?)
辺りを見回してみると、その音は隣の店舗の屋上からその音は響いている様でした。
同時に

ゴポッ・・ゴボ・・ボコ・・・・

と、何かが泡立つ様な音も聞こえて来たのです。
しかし、今は深夜です。キッチンに明かりがついている家もなければ料理をしている様な家も見当たりません。
ですが、確かのその音は聞こえて来るのです。

ゴボッ・・ボコボコ・・・・

そして、心なしかその音は少しずつ大きくなっている様な気もします。

ボコッ・・ゴボボッ・・・・!

音の元を目で探した私は、やっとそのやっとその音が何処から出ているのかを見つける事が出来ました。
それは、伯父の流した血で作られた血だまりから響いていたのです。
血だまりはまるで煮え立つ溶岩の様にボコボコと表面が泡立ち、一際大きな血泡が何かの形を為そうしている所でした。
その血の泡は徐々に大きくなり・・・やがて伯父の背丈を越えました。
136 :夕紅 ◆e/DkDKVoCg @\(^o^)/:2015/03/13(金) 00:36:39.80 ID:NteTv0p/0.net[7/8]
そして、私ははっきりと見ました。
その血泡の表面に浮き出した顔は、憤怒で歪んではいましたが確かに祖父だったのです。
憤怒の余り亡霊となって現れた祖父に、伯父はだらしなく涙と鼻水を流して泣きながら謝罪をしていました。

本当に心だけでなく見た目も汚らしい男です。

しかし、その祖父の姿の血泡は伯父の頭を地面に押さえつけました。
土下座だろうか、と私が思った瞬間

ブチッ・・・!!

何かが千切れる音がしました。
そして、同時に

ドシュッ・・・!!!
ガシャァーンッ!!!

という盛大な破壊音が響き渡りました。
見ると、隣の店舗の屋上に運ばれていた別の硝子を縛っていたロープが千切れています。
そして、その真下には・・・硝子により首を切断された伯父の首のない、土下座をしているかの様な姿の遺体がありました。
137 :夕紅 ◆e/DkDKVoCg @\(^o^)/:2015/03/13(金) 00:38:11.60 ID:NteTv0p/0.net[8/8]
そして、その切断された首は・・・・満足そうな笑顔を浮かべた血泡の祖父が持っていました。

その顔は恐怖に歪み、涙や涎でぐちゃぐちゃでした。
首の方には意識があるのか、それともあれは魂だけの姿なのか・・・首だけになった伯父は必死に命乞いの様な事を叫んでいる様でした。

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