洒落怖
報い

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ジリリリリリリ!!!!
リーンリーンリーンリーン!!!
ピコピコピコピコピコ!!!
リンリンリンリン!!!

携帯電話から固定電話まで、家にある電話という電話が全て一気に鳴り始めたのです。
「うわっ?!何?!」
あまりのけたたましい音に、私と母は飛び起きました。
部屋どころではなく、家中に響き渡る電話の呼び出し音。
すわ故障かと。
私と母は半ばパニックになりながら一つ一つ電話を止めて回りました。

すると、その時です。
バタンッーー!!
玄関の扉が閉まる音がしました。
「えっ・・・?」
おかしいーーーー。
私と母は顔を見合せました。
今、この家には私と母しかいません。
父も、長期出張中で当分帰ってくる予定はありません。
何より、父であれば帰ってくる前に毎回電話を入れてくれる筈です。
ならば、一体誰が・・・?
134 :夕紅 ◆e/DkDKVoCg @\(^o^)/:2015/03/13(金) 00:31:13.40 ID:NteTv0p/0.net[5/8]
私と母は先ず施錠を確認しに行きました。
すると、鍵は開いており、外側には抉じ開けられた時に出来た様な傷が幾つもついていました。
やはりおかしい。
私は寝る前に確かにこの目で確認したのです、鍵が閉まっているのを。
その時ーーー
「夕紅っ!!あれっ!!」
母が窓から身を乗り出す様にして外の家の前にある道を見ながら指を指していました。
思わず、私も窓に駆け寄り、下を見下ろしてみました。
すると、そこには・・・黒い覆面を被った状態で走り去る男がいたのです。
「泥棒?!いや、強盗?!」
私は慌てて携帯を手に取りました。
すると、男は私達が見ている目の前で覆面を脱ぎ始めたのです。
その顔は、紛れもなく伯父でした。
母を殴ったあの伯父です。
何故、伯父がこんな時間にこんな所にーー?

そう疑問に思ったのも束の間
「あっ!!危ない!!!」
母の叫び声が響き渡りました。
私も眼下の伯父もその声に気を取られた、その一瞬

ガシャァンッーー!!
ザシュッ!!
ドンッ!・・・ゴロゴロゴロ・・・

改装中で工事をしていた隣の店舗の屋上から、透明な硝子板が落下してきたのです。
そして、その硝子板は真下にいた伯父の左の腕を真っ直ぐに直撃し、まるでギロチンの様にバッサリと切り落としたのです。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!いてぇぇぇぇ!!腕がぁぁぁぁぁ!!!俺の腕がぁぁぁぁぁ!」
伯父はその場に蹲ると、腕を無くした痛みにそのままもんどりうち始めました。
135 :夕紅 ◆e/DkDKVoCg @\(^o^)/:2015/03/13(金) 00:32:45.35 ID:NteTv0p/0.net[6/8]
私と母は暫く呆然とその光景を眺めていましたが、直ぐに我に返ると
「きゅ、救急車!!!」
母はそう言って部屋に引き返して行きました。
しかし、私は怪我をした伯父を見ても何の感慨も浮かびませんでした。

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